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「あれんじ」 2020年6月6日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
ペットとの暮らし方

ペットがいる家庭の子育てで、気を付けることを教えてください。

かかりつけの獣医師を持ち
正しい知識で程よい触れ合いを

注意したい 動物由来感染症

 近年、動物と人との距離は大きく変化しました。ペットなどの動物たちは、疲れた心を癒やしてくれるかけがえのないパートナーといえるでしょう。ただし、過度の触れ合いには思わぬ落とし穴があることをご存じでしょうか。

 それは、動物からうつる感染症「ズーノーシス(=動物由来感染症もしくは人畜
共通感染症)」です。主なものは国内で25種類ほど、世界では200種類ほどあり、SARSやMARS、そして新型コロナウイルスによる感染症も動物由来感染症の一つです。

 犬や猫の場合でも人への感染症が知られています。例えば、猫の便に含まれる場合があるトキソプラズマは、妊婦さんが初めて感染すると流産や胎児の病気(水頭症など)を引き起こすことが知られています。

 また、犬や猫の唾液中のパスツレラ菌は、かみ傷、動物とのキスなどで感染の報告があり、特に高齢者、2型糖尿病の患者さん、乳幼児では注意が必要です。

 正しく管理された動物は問題ないことが多いですが、家の外で野生動物と接触した際に感染していることがあるので注意が必要です。


ペットにも定期検診を
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
松本志郎准教授

 日頃からスプーンや箸を共用しない、口移しで餌を与えない、生肉を与えない、爪を小まめに切る、フンは速やかに処理する、そしてかかりつけの獣医師を持ち、定期検診を受けさせることが大事です。

 動物と人は、太古の時代から適切な距離を保って生きてきた大切なパートナーです。子育てにおいても、親には育児ストレスの軽減、子どもには情緒安定や人格形成など良い影響があることも知られています。正しい知識で、家族の一員として程よい触れ合いを心がけましょう。

 厚生労働省が毎年、動物由来感染症のハンドブックを発表しています。一読されてはどうでしょうか。