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「あれんじ」 2020年5月2日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第85回】「変化する女性」

女性医療従事者によるリレーエッセー【第85回】

【第85回】「変化する女性」
熊本バースクリニック(5/20開院予定)
院長
黒田 くみ子

 医者になって、あっという間に16年がたちました。研修医の1年目が終わるころ、産婦人科を2カ月間研修したのですが、ここで転機が来たようです。「私の仕事は産婦人科しかあるまい」。あっさりと将来を決めてしまいました。「変化する女性」である患者さんに対して、その変化に対応しながら診療を行っていくことにとても魅力を感じました。

 女性の患者さんは、20代、30代、40代、50代…と全く違う。妊婦さんであれば、週数によって全く違う。その後、自分の専門を主に産科分野としましたが、お産というのは本当にダイナミックな変化です。今までお母さんのおなかの中で暮らしていた胎児が、外に出て、呼吸をしておっぱいを飲む、と激変します。お母さんのほうは、妊娠中からホルモン環境を変化させ、胎盤という臓器を新たに作り、出産直後に胎盤を捨てて、その後はおっぱいを出すようになります。

 でも、最も大きな変化は、人が1人増える!ということだと思っています。これはすごいことです。今まで無(?)だったところに人が生まれるんですから。そして、家族も変化をしていきます。

 変化する女性、そして家族の新たな誕生に、私のできる精いっぱいの仕事をしたいと、開業医になる決心をしました。5月20日に熊本市で13年ぶりとなる分娩施設をオープンします。それぞれの女性が自身の体や環境の変化に穏やかに対応していけるように、同じ女性としてお手伝いができたらと思います。