【四季の風】
第49回 燕の子
燕は雀とともに、身近な鳥。春にやってくるので、「燕」(つばめ、つばくろ、つばくら、つばくらめ)といえば春の季語。南から、いかにも春らしく颯爽と輝いてやってくる。電線に一列に並ぶ姿はみごとで、思わずうれしくなってしまう。結婚式に花を添えたこともある。 |
乙鳥(つばくろ)はまぶしき鳥となりにけり 中村草田男 |
つばくらめ斯(か)くまで並ぶことのあり 中村草田男 |
子燕の顔出してゐる余震かな 中正 |
さらに秋の彼岸のころともなると、この燕たちも「帰燕(きえん)」「秋燕」(あきつばめ、しゅうえん)となって南へ帰って、ふと淋しくなる。 |