【元気!の処方箋】
婦人科がんと遺伝子検査 遺伝性乳がん・卵巣がん
ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーの乳房切除のニュースで広く知られることになった「遺伝性がん」。今回は、婦人科の遺伝性疾患の中で最も頻度が高い「遺伝性乳がん卵巣がん」について、検査やカウンセリング含めてお伝えします。(編集=坂本ミオ) |
【はじめに】がん全体の5〜10%程度を占める「遺伝性がん」 |
【図1】それぞれのがん腫における遺伝性がんの割合
今や日本人の2人に1人はがんになる時代です。現在、日本では年間約100万人ががんと診断され、そのうち35万人以上ががんで亡くなっています。 |
【「遺伝性乳がん卵巣がん」とは?】 |
【図2】常染色体優性遺伝形式の家系図の特徴
乳がんや卵巣がんが複数見られる家系について詳細な調査が行われた結果、乳がんや卵巣がんの発症と密接に関わる2種類の遺伝子が発見され、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子と名付けられました。 |
【どのような人に遺伝性乳がん 卵巣がんのリスクがあるのか?】 |
日本HBOCコンソーシアムは、遺伝性乳がん卵巣がんのリスクについて、以下のようなチェックリストを作成しています。 |
【「BRCA遺伝学的検査」と 「遺伝カウンセリング」とは?】 |
遺伝性乳がん卵巣がんの診断のためにBRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異があるかどうかを調べる検査は、「BRCA遺伝学的検査」と呼ばれ、遺伝子変異の有無を血液検査で判定できます。検査によって遺伝性乳がん卵巣がんと診断された場合、その結果はご本人のみならずその血縁者にも影響がおよぶことから、専門医による「遺伝カウンセリング」を受けることをお勧めしています。 |
【おわりに】 複数の診療科や部門、職種の連携が重要 |
遺伝性乳がん卵巣がんの確定診断のためのBRCA遺伝学的検査は、最近では卵巣がんの治療法の決定にも影響する検査として非常に重要な役割を担うようになってきました。 |
執筆いただいたのは |
熊本大学大学院生命科学研究部 |