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「あれんじ」 2019年12月7日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
リンゴ(ほっぺ)病

リンゴ病について教えてください。大人もかかるのでしょうか。

子どもの症状は軽く対症療法に。妊娠中の感染に気を付けて

微熱、鼻水、頬の発赤

 リンゴ(ほっぺ)病は、正式には「伝染性紅斑」という風邪の一つ。ヒトパルボウイルス(エリスロウイルス)B19というウイルスによる感染症です。主に4〜5歳の子どもを中心として小学校の低学年児くらいまでがよく感染します。

 微熱や鼻水などの軽い症状の後、1週間前後して両頬にリンゴのような発赤(ほっせき=皮膚が赤くなること)が出現します。発赤は、体にも現れる場合があり、1週間ほどで消えますが、出たり消えたりを繰り返すケースもあります。

 熱などの風邪症状が全くないことや頬の発赤も分かりにくい場合もあり、気が付かずに過ごしているケースも多いとされています。

 特に風疹とは区別が難しい場合が多く、同じ時期に流行するため、ある調査では風疹と診断された半分がリンゴ病だったと報告されています。


大人では激しい関節痛も
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野

松本志郎准教授

 子どもの症状は軽いため治療は対症療法のみで、予防接種もありません。ただし、成人の約半数が免疫を持たないと報告されており、感染すると立てないくらいの激しい関節痛(男性で3割、女性で6割)、時に肝炎を起こす場合もあります。

 妊婦さんに感染し、その一部の方で胎盤を通じておなかの赤ちゃんに感染すると流産(1割)や重症貧血(2割)になることが報告されています。

 注意が必要なのですが、頬の発赤が出る前の時期が最も感染しやすいため、予防が難しいとされています。妊婦さんのご家庭で小さいお子さんをお持ちの場合、地域や保育園での感染症の流行状況などをこまめにチェックし、せきエチケット、手洗い、うがいなどの日頃の対策をしっかりと行うことが大切でしょう。