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「あれんじ」 2019年11月2日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第81回】「男女共同参画時代」

女性医療従事者によるリレーエッセー【第81回】

【第81回】「男女共同参画時代」
瀬口医院
はな小児歯科
院長
原田 華

 私は幼い頃、負けず嫌いだった。女の子の中では足が速くても男の子の方がもっと速い。塾でも一番になるのは男の子。なぜ男の子に勝てないのだろうと悔しく思っていたこともあった。

 年を重ねて男女の特性を理解するようになり、自身で出産を経験した時に自分が女性であることに感謝した。母親になったことがきっかけだったのか、子どもの目線でものごとを見ようとするようになり、小児に特化した歯科診療の勉強を始めた。

 歯科に対して不安な子、泣いている子が安心して受診できるようにしてあげたい。エネルギーを使う分、子どもたちの成長にエネルギーをもらっていると思う。親御さんに対しては、自分の子どもならばどうしてほしいか、どう言ってほしいかを考えるようにしている。

 さて、息子の卒園式でのこと。両親へのメッセージで、「お父さんいつもご飯作ってくれてありがとう。お掃除してくれてありがとう」と、父親が家事をしていることへの感謝を言っている子が数人いたことに驚いた。父親が幼い子どもを連れて歯科を受診する光景も以前より増えたと思う。「お父さん、仕上げ磨きされますか」と尋ねると、「やります」と意欲的に歯磨き指導を聞いてくれる父親もいる。

 フルタイムで働く母親が増え、父親が家事を分担している男女共同参画の時代だと感じた。

 時代と共に社会や家庭の在り方が変化していくのは当たり前といえば当たり前だ。子どもたちのこれからの時代、男女の特性を理解した上で、男女問わずそれぞれの個性を生かし、共に支え合える社会の発展が楽しみだ。