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「あれんじ」 2019年9月7日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第80回】「感謝の気持ちを忘れずに」

女性医療従事者によるリレーエッセー 【第80回】

【第80回】「感謝の気持ちを忘れずに」
からしま小児科
医師
福間 真実

 「またキャンセル待ち!?」。わが子の突然の発熱では毎回、病児保育施設の確保で一喜一憂させられる。働く人の子育てサポート体制が充実してきている現在でも、感染症の流行期にはどこも満室ということもしばしば。どうにかならないものかと思う一方、預けられないときにこそ、病気でも預かってくれることに感謝をしなければ…と思う。

 保育園も同様。探し回って、入園先が見つかったときは「良かった〜」と思っていても、時間と共にそのありがたさを忘れがちになる。保育園が休みの日に、改めて保育園のおかげで仕事ができていたのだと実感する。

 わが子だけでも大変なおむつ替えやイヤイヤ期の対応、準備や片付けにエネルギーを要する水遊びや泥遊び…。日々奮闘しておられる保育士さんへの感謝の気持ちを忘れないでいたい。

 4月から実家の小児科クリニックで働くようになり、受診におばあちゃんがお孫さんを連れてこられる家庭も多いと感じる。家での経過を聞くと答えに困られることも多く、心苦しくなる。以前は「経過を知っている人が連れてくればいいのに」と思っていたが、子育てしながら働くようになった今はおばあちゃんのサポートがうらやましい。

 しかし、おばあちゃんの年齢で熱や嘔吐で具合の悪い子どもの世話や、エネルギーあふれる子どもの相手をするのは大変なことだと思う。子どもの受診を依頼するときは、家庭での経過を書いて渡し、ワクチン接種時には委任状を準備して、「ありがとう」の気持ちを添えたい。

 自分が逆の立場になったときに思いをはせて、気遣いと感謝を忘れずにいたい。