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「あれんじ」 2019年9月7日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
泣き入りひきつけ

Q.子どもの「泣き入りひきつけ」を経験し、子どもが泣くたびにビクビクしています。

A.通常1分以内に回復多くは4歳までに症状が消えます

強く泣くことで無呼吸に

 乳幼児が大泣きした後に、息を吐ききった状態のまま、呼吸を止めてしまうことがあります。顔色が悪くなり、意識レベルが低下して、全身の脱力(ぐったり)やけいれんを引き起こす場合があり、これを「泣き入りひきつけ(憤怒けいれん)」といいます。

 一般的に検査(脳波検査、MRIなど)では異常は認めません。泣き入りひきつけが起きるきっかけは、「大泣き」したり何かに驚いて「びっくり」したりすることで発作が引き起こされる「反射性けいれん」の一種と考えられており、呼吸を止める「無呼吸」が起きるのが特徴です。

 強く泣くことで無呼吸となり、脳が一過性に低酸素状態になり、意識の低下、脱力、けいれんなどが生じると考えられています。睡眠中には起きません。おおよそ乳幼児の4〜5%くらいに認められますので、同じクラスに1、2人はいることになります。


落ち着いて対応を

 通常は1分以内に回復し、後遺症は残しません。成長に伴って改善し、大部分が4歳までに症状が消えてしまいます。

 親や周りの家族からすると「泣かせないように、驚かせないように」という対応になるのですが、過保護になり過ぎて、子どもが「自分の希望を通すために泣く」という方法を学習して逆に発作が増えてしまうことも経験されます。

 予後の良い病気なので、まずは落ち着いて対応すること、そしてあまり過保護になり過ぎないようにすることも大事です。難しいバランスですが、お気に入りの絵本やおもちゃで気を紛らわすなど上手に対応する工夫もあります。

 発作時の対応などで心配な場合は、小児科(神経)専門医の先生とよく相談しましょう。


熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
松本志郎准教授