【元気!の処方箋】
この時季は“春バテ”に注意 若者のメンタルヘルス
新年度がスタートしてひと月余り。緊張から疲れが出たり、連休もあってリズムを崩したり、といったことが起きがちです。そこで今回は、心身に不調を来す原因や治療、予防、周りが気を付けたいことなどをお伝えします。 |
【はじめに】精神的な不調を来しやすい20歳前後 |
新年度は環境が変わりやすい季節です。環境の変化はさまざまな形でわれわれのメンタルヘルスに影響を及ぼします。人は常々ストレスにさらされて生活しているわけですが、20歳前後の年齢層がメンタルヘルス不調を来しやすいことは昔から指摘されていました。 |
【この時季多い心身の不調】”春バテ”は、医学的には適応障害 |
【表】適応障害の判断基準
※米国精神医学会による精神疾患の分類と診断の手引 第5版を一部改変 新生活への期待や高揚感が落ち着いてくるゴールデンウイークを過ぎた頃から出てくるさまざまな心身の不調、それがいわゆる「五月病」です。最近では”春バテ”とも言うようで、これらの症状を医学的に診断すると適応障害という診断名になります。 |
【適応障害の治療】こじらせないために対症療法や環境調整を |
適応障害を経験しないに越したことはないのかもしれませんが、病院受診にまでは至らない程度の不適応というのは多くの人が経験するところでしょう。むしろ人はそういった経験を経てアイデンティティーというものを形成していくのかもしれません。肝心なのは、適応障害をこじらせないことです。 |
【メンタルヘルスにかかわる睡眠】症状の改善につながる良い睡眠リズム |
【メモ】睡眠障害対処12の指針
※睡眠障害の対応と治療ガイドライン(内山真 編集)より 一方、多くのメンタルヘルスの不調に共通してみられるのが睡眠障害です。入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、睡眠時無呼吸など、その内容はさまざまですが、注意したいのは、さえない気分、日中の疲労感、集中力の乏しさなど、一見するとうつっぽく見える場合もあるということです。 |
【“春バテ”の予防と対応】普段と違った様子が続いていないか? |
“春バテ”の予防としては、規則正しい生活(睡眠と食事)を心掛け、自分なりのストレス解消法を見つけることです。場合によっては周囲が環境調整の手伝いをしてあげることも必要かもしれません。 |
【終わりに】普段からのコミュニケーションを |
同じうつ状態でも適応障害レベルなのかうつ病なのかの見極めが、治療場面では重要になってきます。 |
執筆いただいたのは |
熊本大学保健センター
藤瀬 昇 教授 ・精神保健指定医 ・日本精神神経学会専門医 ・日本老年精神医学会専門医 ・日本自殺予防学会評議員 ・日本森田療法学会理事 ・全国大学保健管理協会評議員 |