【四季の風】
第45回 山笑う
老若男女を問わず、うつむき加減にスマホばかり見ている人を見るといつも、もったいないなあと思う。ちょっと見上げると、すぐそこに立田山や金峰山があり遠くには阿蘇もあって、四季折々違う表情を見せてくれるのに。 昔から「季語」に込められた言葉のセンスは、鋭く楽しい。山にも四季があって、まるで人間みたいに、春の山は目覚めて「山笑う」といい、夏の山は緑に「山滴る」、秋の山は紅葉で「山粧い」、冬の山は深々と「山眠る」という。山も生きているのだ。 |
故郷やどちらを見ても山笑ふ 正岡子規 |
太陽を必ず画く子山笑ふ 高田風人子 |