【元気!の処方箋】
何をするの?どうすればいい? 骨髄移植とドナー登録
有名アスリートの白血病罹患発表に人々の関心が集まった骨髄移植とドナー登録。詳しいことが分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、骨髄移植やそのためのドナー登録、骨髄提供の流れなどをお伝えします。 |
【はじめに】 |
【図1】血液のつくられ方
血液中には白血球、赤血球、および血小板の3種類の血球が流れています。これらの血球は、骨の中にある骨髄でつくられています。骨髄には「造血幹細胞」と呼ばれる万能の血液細胞があり、すべての血球を生み出しています。 1958年、旧ユーゴスラビアの原子力事故をきっかけに、骨髄移植は脚光を浴びることになりました。当初は失敗続きでしたが、現在ではなくてはならない治療法となっています。 |
【白血病と骨髄移植】 |
【図2】骨髄(造血幹細胞)移植
@抗がん剤・放射線で白血病細胞を殺す A造血幹細胞を移植し治癒に向かう 白血病はこの造血幹細胞ががん化することで発症します。白血病を治すためには、抗がん剤でこの白血病細胞を一網打尽にして消滅させます。 |
【骨髄移植にはドナーが必要】 |
前提条件として、ドナーと患者の血液の型を合わせる必要があります。この場合の型はA型、などの血液型ではなく白血球の型「HLA」です。このHLAは自分と他人を区別する目印であり数百〜数万ものバリエーションがあります。HLAのおかげで人体は異物を認識し、攻撃し排除して体を守ることができます。 |
【骨髄(骨髄液)提供の流れ】 |
【図3】骨髄(骨髄液)提供までの流れ
改変転載 https://www.jmdp.or.jp/ 実際の骨髄提供の手順をご紹介します(図3)。 |
A採取から退院まで |
【図4】骨髄採取
全身麻酔下で両方の腰骨(右図)から骨髄を注射器で採取しています 採取は入院で行います。熊本医療センターでは水曜日に入院、翌朝手術室に入り全身麻酔で両側の腰骨から注射器で骨髄液を採取します(図4)。 |
B骨髄移植へ |
採取された骨髄液はその日のうちに患者さんの入院している病院に送られ、移植が行われます。移植と名がついていますが、輸血のように点滴で輸注されます。造血幹細胞は血流に乗って速やかに患者さんの骨髄に移り住み、患者さんの一部となって血液をつくり始めます。 |
骨髄移植以外の移植 |
【図5】末梢血幹細胞採取
(左)連続的に採血し器械にかけて幹細胞を採取しています (右)採取された末梢血幹細胞 造血幹細胞は最初に骨髄で見つかりましたが、その後全身に流れている血液(末梢血)中にも含まれることが分かりました。 |
【図6】さい帯血 さい帯血は50ml程度の量です。 凍結されたまま運ばれてきます |
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【終わりに】 |
原発事故がきっかけで広がった骨髄移植は人々の善意の後押しも受けて、必要な方すべてに移植が可能となりつつあります。 |
執筆いただいたのは |
国立病院機構 熊本医療センター |