【元気!の処方箋】
発育期に注意したい スポーツ障害
新入学、新学期を前に心弾む季節がやってきました。子どもにはスポーツにも取り組んでほしいですが、過度な練習やウオーミングアップ不足などによるけがには気を付けたいものです。 今回は、発育期のスポーツ障害についてお伝えします。 |
【はじめに】1回の大きな力による「外傷」 繰り返し加わる力による「障害」 |
【図1】スポーツ外傷・障害
スポーツ障害とは、スポーツに関係して起こる運動器のトラブルを指します。 |
【背景1/運動習慣】身体活動に二極化進む現代っ子 |
【図2】現代っ子の身体の二極化
「最近の子どもは外遊びをしないから運動能力が低い。だからけがをする」といった声を聞くこともあります。しかし文部科学省の体力・運動能力調査結果によると、7歳から11歳の子どもの運動能力はここ十数年あまり変わっていません。以前に比べ、体力や運動能力が劣っているというデータはないのです。 |
【背景2/発育期の運動器の特性】大人のミニチュア版ではない子どもの運動器 |
【図3】成長期の骨組織
スポーツ障害の予防を考えるには、成人とは異なる発育期の運動器の特性を理解しておかなければなりません。子どもの運動器は、大人の縮小版ではないのです。 |
【どんなけがにどう注意する?】十分なウオーミングアップ 痛みが出たら受診し、治療を |
【図4】成長期の骨盤剥離(裂離)骨折の
好発部位と関係する筋肉 先に述べた特性を背景に起きやすいけがに、剥離(はくり)(裂離)骨折があります。 |
【子どものスポーツ育成】年代に適した運動指導が体を守り、成果を上げる |
幼い頃からスポーツに親しむことは、良いことです。その際、子どもの運動器や発達・発育の特徴を知って、周りが上手に導くことが、本人の成長においても、競技界においても、とても大事です。 |
【終わりに】運動器検診の大切さに理解を |
2016年4月に学校保健法が改正され、運動器に関する検査が、児童生徒等の健康診断の必須項目に追加されました。もっと運動器疾患に目を向けましょうということです。 |
話を聞いたのは |
熊本大学医学部附属病院 整形外科
中村 英一 講師 専門は、膝関節外科、足関節外科、スポーツ整形外科、小児整形外科 ・日本整形外科学会(専門医、スポーツ医、運動器リハビリテーション医) ・日本足の外科学会(評議員、学術研究委員) ・日本リハビリテーション医学会(認定臨床医、専門医、指導医) ・日本スポーツ協会公認スポーツドクター ・日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)(評議員、教育研修委員) ・国際関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(ISAKOS) (active member、Knee Committee member) |