【元気!の処方箋】
高齢者とは異なる対応が必要な若年性認知症
「若年性認知症」は、仕事や家庭の中心を担っている時期に発症するため、発見の経緯やその後の経過において、高齢者のそれとは異なることも多々あります。今回は、「若年性認知症」についてお届けします。 |
【はじめに】若年性認知症とは |
【図1】若年性認知症を引き起こす病気
認知症といえば高齢者の病気と考えられがちですが、40代や50代の働き盛りの時期に発症する認知症もあります。若年性認知症は、65歳より以前に発症した認知症のことです。 |
【早期発見に】専門医療機関への受診を |
【図2】若年性アルツハイマー病患者さんのMRI(上段)と脳血流(下段)画像
MRIでは脳萎縮は年齢相応であるが、脳血流は著明に低下している(矢印で示した、色がついているところが血流低下部位を表している) 若年性認知症患者さんの多くは職場で異変に気付かれます。頼まれた仕事を忘れていたり、仕事の手際が悪くなったりして職場から病院受診を勧められますが、年齢が若いこともあり、大抵は認知症よりもうつ病を疑われて受診されます。 |
【就労中の場合は】職場環境の調整を |
就労中の患者さんの場合、経済的な問題や脳機能維持の観点から、できるだけ長く仕事を続けられることが目標となります。そのためには職務の軽減などの職場環境の調整が重要となります。 |
【自立した生活の支援に】制度やサービスの利用を |
【図3】若年性認知症患者さんが利用可能な制度・サービス
残念ながら、若年性認知症を根治する治療薬はまだ開発されていません。現在発売中の認知症治療薬は、症状の進行を遅らせてはくれますが認知症を治してしまうことはできません。 |
【患者さんの思い】 |
認知症の話題になると、介護をするご家族の苦悩に目が向きがちですが、患者さんご本人もさまざまな葛藤を抱えて生活されています。当院を受診された若年性アルツハイマー病患者さんの“思い”を紹介します。 |
執筆いただいたのは |
熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学分野 |