【四季の風】
【第42回 蟇(ひきがえる)と山椒魚(さんしょううお)】
歳時記で「夏」は、水辺の動物の宝庫。私は前から蟇と山椒魚が気になっている。蟇は昔、我が家の庭の池の隅にいた。姿はいかつくて動きは緩慢。いつも眠っているのか瞑想(めいそう)しているのか、威厳があってユーモラス。目を合わせると、思わず「人生とは何か」と問われている気がしたものだったが、最近とんと見かけない。 |
蟇(ひき)歩く到りつく辺(へ)のある如く 中村汀女 |
蟇(ひきがえる)誰(たれ)かものいへ声かぎり 加藤楸邨 |