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「あれんじ」 2018年6月2日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第70回】慢性疾患の子どもたちのお手伝い

女性医療従事者によるリレーエッセー【第70回】

【第70回】慢性疾患の子どもたちのお手伝い
熊本大学
医学部附属病院
小児科  
医師 永田裕子

 大学病院の小児科を訪れる子どもたちの病気の多くは慢性疾患です。慢性の病気ですから、治療も経過も長期になり、病院や薬との付き合いも長くなります。予定外の入院を余儀なくされたり、食事や運動が制限されたり、他のお友達と同じようにはいかないことが多々あります。

 私が専門にしている腎臓病においても、多くは慢性に経過し、病気だけでなく、薬の副作用と闘い、頑張っている子どもたちがたくさんいます。

 ただ、腎臓病に関しては以前に比べ、活動の制限が少しずつ緩和される傾向にはあります。例えば、入院した場合はベッド上での安静を指示した時代もありましたが、過度の安静はさせない方向になったり、骨密度の検査結果に応じてなるべく早く体育を許可したり、食事制限も病気の種類によって柔軟に行うようになってきています。

 外来では、検査結果や薬の説明の時間より、「学校では最近何が流行しているの?」「きょうだいとは仲良くしているの?」といった日常生活に関する質問に時間を多く割いているような気がします。

 つい先日まで入院していた子が学校の代表としてピアノを弾く係に選ばれた、またある子は、縄跳びで学年で1番になった。そういう話を聞くたびに、病気があっても頑張る姿にこちらが勇気付けられます。

 慢性疾患の子どもたちには、病気と“うまく付き合い”、本人の可能性を病気に邪魔されず、最大限に生かしてほしい。そのお手伝いができればと思っています。