【四季の風】
第41回 梅林
めぐりくる季節の風に乗せて、四季の詩である俳句をお届けします |
人逝(ゆ)きてより黄落のきりもなし 中正 |
昨年十一月三十日、島田美術館の島田真祐さんが亡くなられた。どこか寒梅のように凜(りん)とした人で、残念だった。それは、「黄落(こうらく)」、つまり銀杏(いちょう)がしきりに散るころだった。 |
人逝きて春潮の沖のこさるる 中正 |
今年になって引き続きという感じで、二月十日石牟礼道子さんが亡くなられた。翌十一日、三角西港の吟行を終えて通夜へ急いだ。春の海を見ていて、ああこれで不知火の沖の浄土へ帰られたのかと、深いかなしみに襲われた。 |
梅林(ばいりん)を行きて渚をゆくごとし 中正 |
はるばると聖鐘(せいしょう)とどく梅林(うめばやし) 〃 |