【元気の処方箋】
子どもの精神面、行動面の問題について 成長・発達の過程で気を付けたいこと
周りとのコミュニケーションや日常生活に苦手感があり、生きづらさを感じている子どもたちがいます。 今回は、そういった子どもたちの成長・発達の過程において気を付けたいことについてお伝えします。 |
【はじめに】時期に応じて変わる子どもの精神・行動面の問題 |
「子ども」の精神面、行動面の問題や異常は、幼児期、児童期から思春期までの年代に応じて異なります。それは、その時期が成長・発達していく過程だからです。そのことを意識しながら、子どもを観察し、問題点への対応を検討することが大事です。 |
【成長・発達の過程について】幼児期から児童期、思春期へ 関心は内向きから外、再び内に |
(図)ライフサイクルにおける内向−外向
【参考文献(図の引用)】 子ども相談・資源活用のワザ、衣斐哲臣、金剛出版、2008年 人間の心理的活動が自分の内側に向かうか外側に向かうかという視点で見た場合、ライフサイクル上では、(図)のようなイメージを描くことができます。 |
【子どもの問題の現れ方】日常生活が心理的活動に影響 精神、行動の問題として現れる |
発達の過程における子どもの問題の一つとして、コミュニケーション、日常的な行為、学習などにおいてうまくできにくい、あるいはもともと苦手であるという場合があります。 |
外から見える問題の大きさに比例しない本人が感じるつらさ |
幼児期の子どもの中に、言語や身辺自立の遅れ、対人関係やコミュニケーションのとりにくさなどが日常生活で見られ、外側に向かう時期である幼稚園・保育園などでの集団行動にやりにくさが見られることがあります。そのため家族や園の先生が戸惑うことがあります。 |
【求められる子どもへの対応】能力を発揮しやすい環境に調整 本人なりのペースを援助 |
このような現象は、児童期になるまで日常生活で苦労している時期があったことに気付かれずにいたケースでも、本人がコミュニケーションや学習、日常的なことでの苦手さを感じていることがあれば、同様に見られることがあります。 |
【終わりに】普段の様子をよく見ることが大事 |
今回述べた発達過程は、心理的活動が内側・外側に向かいながら、社会および他者との関係の中で個人が社会化(社会の一員として他の人々との相互影響を通じて知識・技能・価値観などを習得していく過程)および個性化(社会化する過程において個性を発揮し独自のあり方を実現)していく過程になります。 |
執筆いただいたのは |
熊本大学医学部附属病院
神経精神科 城野 匡(ただし) 講師 ・精神保健指定医 ・日本精神神経学会指導医 ・日本老年精神医学会専門医 ・日本児童青年精神医学会認定医 ・ 子どものこころ専門医 |