【元気!の処方箋】
女性や小児、高齢者に多い 膀胱炎(ぼうこうえん)と腎盂腎炎(じんうじんえん)
膀胱炎は、排尿時の痛みや頻尿など、生活の質を下げる症状に悩まされます。 今回は、膀胱炎と、さらに症状が重くなる腎盂腎炎についてお伝えします。 |
【はじめに】 |
【図1】
腎臓は握りこぶしぐらいの大きさで、腰の少し上の背中側に2個あります。腎臓には毎日たくさんの血液が送られてきます。腎臓では、体内で不要となったものを尿として分別しています。 |
【膀胱炎】排尿痛、頻尿、尿の混濁が三大症状 |
●原因の多くは大腸菌 繰り返さないよう注意 |
【腎盂腎炎】発熱、腰痛、悪寒戦慄(せんりつ)など重い症状 |
【図2】
【原因と症状】単純性と複雑性がある腎盂腎炎 |
◎単純性腎盂腎炎 かかる確率が高くなる閉経後や高齢女性 |
基礎疾患がない人に起こる急性の腎盂腎炎で、膀胱炎症状に続いて発症する場合や、前触れなく急に発症する場合があります。青年期の女性に多いのが特徴の一つですが、男性でもまれにかかる場合があります。 |
◎複雑性腎盂腎炎 きちんと治療しないと繰り返すことに |
何らかの基礎的背景がある場合に生じる腎盂腎炎です。左上に、複雑性腎盂腎炎を起こす主な背景を示しています。特殊な状況として、治療のために膀胱内にカテーテルと呼ばれる管を留置している場合もあります。 |
【複雑性腎盂腎炎を起こす主な背景】 |
◎尿路の狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)を起こす疾患 |
【治療】早めに受診、検査や治療を |
単純性腎盂腎炎の場合は、適切な抗菌薬投与と補液(あるいは十分な水分摂取)により、すみやかに症状は改善します。 |
【メモ】小児の尿路感染症 高熱を繰り返す場合は検査を |
小児の尿路感染症は比較的頻度の高い疾患ですが、乳幼児などでは発熱以外の臨床症状に乏しいことが多いのが特徴です。 |
【終わりに】 |
膀胱炎や腎盂腎炎はとても身近な感染症です。普段から無理をしないようにし、水分を十分に取るようにしましょう(病院で水分制限を指示されている場合は主治医の先生に相談してください)。 |
執筆いただいたのは |
熊本大学医学部附属病院
腎臓内科 中山裕史 講師 ・日本内科学会総合内科専門医・指導医 ・日本腎臓学会専門医・指導医 ・日本透析医学会専門医・指導医 【専門】 腎炎、腎不全、高血圧、電解質異常 |