【四季の風】
第39回 秋風
「秋風」は、とてもわかりやすく、ひろく親しまれてきた季語。初秋のさわやかな秋風から晩秋のあわれまで、また若者の秋風から晩年の秋風まで、その年齢に応じて思いはそれぞれ。 |
秋風やひとさし指は誰の墓 寺山修司 |
これは、俳句に熱中した高校生時代の寺山修司の作品。「青春のかかえる不安の意識」や「少年の剥(む)き出しの孤独感」(大岡 信)を、身体を通して表現したもの。 |
渚行くときは旅人秋の風 岩岡中正 |
秋風や麺麭(パン)の袋の巴里(パリ)の地図 安住 敦 |
秋風やむしりたがりし赤い花 一茶 |
露の世は露の世ながらさりながら 一茶 |