すぱいすのページ

「あれんじ」 2017年10月7日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
マイコプラズマ感染症

Q マイコプラズマ感染症とはどんな病気ですか?

咳やくしゃみなどの飛沫によって感染

 昨年はマイコプラズマ感染症が大流行しました。オリンピックの年に流行するといわれている感染症で、昨年もその通りになったようです。実際には、オリンピック以外の年に流行することもありますし、地域によって小規模な流行が続くこともあります。

 マイコプラズマ感染症は、マイコプラズマ肺炎という名前で知られています。マイコプラズマと呼ばれる細菌が、患者の咳やくしゃみなどの飛沫を介して健常者の気道に入り、肺やそれ以外の臓器で炎症を生じます。

 乾いた咳が長く続くことが多く、38度ぐらいの発熱がみられることもあります。しかし、比較的元気なので受診・診断が遅くなりやすいようです。

 肺炎以外に、皮膚の発疹や、まれに髄膜炎や脳炎などを起こすこともあります。これらを総称してマイコプラズマ感染症と呼んでいます。


肺炎には特定の抗生物質で治療

 マイコプラズマ肺炎では、治療に使う薬が決まっているため注意が必要です。マクロライド系やキノロン系の抗生物質が用いられます。子どもによく使われているペニシリン系やセフェム系の抗生物質は効果がないため、以前に別の感染症に対して処方された薬を安易に飲ませたりしないようにしましょう。

 マイコプラズマ肺炎のみであれば自然に治ることが多いです。しかし治療まで時間がかかり他の子どもにも広がると、神経症状などの重篤な症状を示すマイコプラズマ感染症を起こす子どもも出てきてしまうかもしれません。長引く咳が見られるときにはかかりつけ医に相談してみてください。


肺炎以外にも、皮膚の発疹や髄膜炎、脳炎などを起こすこともあります
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
教授 中村公俊