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「あれんじ」 2017年10月7日号

【元気!の処方箋】
痛みを起こさぬ体になろう! 家庭でできるエクササイズ 【後編】足腰を鍛える

 肩こりの予防や改善に有効なエクササイズをお伝えした9/2号に続き、今回は足腰を鍛えるエクササイズを紹介します。

 年齢とともに腰や膝の痛みを訴える人が増えるようです。

 今回も、家庭でできるストレッチや筋力トレーニングをお伝えします。(取材・文/坂本ミオ)

【はじめに】運動不足が招く「負の連鎖」に陥らないよう、運動習慣を

 最近、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」という言葉を聞きます。これは、骨、関節、筋肉や神経で構成される運動器の障害のために「立つ」「歩く」などの能力が低下し、要介護や寝たきりになる危険が高い状態をいいます。

 足腰に痛みやしびれなどがあり思うように体が動かせないと、外出するのがいやになったり、できなくなったりします。すると、さらに筋力低下や関節痛が起き、運動不足を招く…という「負の連鎖」に陥る恐れがあります。

 そうならないために、動きづらさのあるような腰痛や膝痛があれば、まずは医師の診察を受けましょう。また、大きな痛みや病気がなければ、ストレッチや筋力トレーニングを生活に取り入れ、足腰を鍛えることが大事です。


【STEP1】まずは姿勢を再びチェック! 壁と腰の間が空きすぎていませんか?
※壁と腰の間の隙間に手のひらがやっと入る程度が目安。

 かかと、お尻、頭を壁につけ、立ちます。その時、壁と腰の間にできる隙間をチェックしましょう。手のひらがやっと差し込めるくらいならOK。手の甲が腰に触れずにさっと入ってしまうようなら、いわゆる「反り腰」になっています。

 女性に多い反り腰は、腰痛や脚の筋肉の衰えにつながります。

 これを防ぐには、壁に背中をつけたまま、おなかをへこませ、お尻をきゅっと締める。あるいは、腕を上に上げてストンと落とす。そうして、もう一度手を腰に入れてみると、前より空間が狭くなっているはずです。


【STEP2】ストレッチ 伸びている関節や筋肉を意識して
◎いすに座って
【膝関節まわり、脚の側面】
※左右各5往復程度行う

片方の脚を伸ばし、膝を内側にゆっくりひねります。5〜10秒ほどキープ。

次に外側へとゆっくりひねります。ここでも5〜10秒ほどキープ。

 日常生活で十分使っているつもりの脚。実は案外使っていないところも多いのです。脚の表、裏、側面を伸ばすストレッチを紹介します。

※呼吸を止めず、伸びていると感じるところで10秒ほどキープしましょう


◎いすに座って
【脚の裏側】
※左右行う

片方の脚を伸ばします。伸ばした方の足のかかとを床につけ、つま先は上向きに。背筋を伸ばしましょう。

息を吐きながら、上体をゆっくり前に倒します。脚の裏側が伸びていることを感じるところで10秒ほどキープ。

◎暮らしに取り入れるヒント
いすに座ったままできるので、自宅ならテレビを見ながらでも、オフィスなら、お昼休みに席を離れる際などに行うと良さそう♪


【STEP3】筋力トレーニング
タオル2枚程度を折りたたみ、膝の間に挟みます。
膝の開きに合わせて立ち、つま先は膝と同じ方向に。手は頭に置いても、バランスが取りやすいように前に伸ばしてもOK。

❶タオルを使って、スクワット!

 下半身の筋力アップに効果的なスクワット。やり方が間違っていると、効果がないばかりではなく、かえって膝や腰を傷める危険性があります。

 ここでは、タオルを使うことで正しく実践しやすい方法を紹介します。

◎暮らしに取り入れるヒント  
スクワットが難しい場合は、片脚立ち(30秒ほどキープ)やかかとの上げ下げ(10〜20回)など比較的簡単にできるものでも筋力アップにつながります。ふらふらする場合は壁や机などに手をついて、転倒しないよう気を付けて!


膝がつま先より前に出ないように気を付けながら、いすに座るようなイメージで腰を後方にゆっくり落とします。またゆっくり元の姿勢に戻ります(5秒で下がり、5秒で戻るペース)。
※5回くらいから始め、無理しないよう徐々に回 数を増やしましょう。

【ポイント】
無理して深く腰を落とそうとせず、「浅くても正しく」行うことが大事です。膝が前に出ないよう意識しましょう。


❷太ももの表を伸ばし、裏側を鍛える!

(1)いすの背やテーブルなどに片手を置き、片脚を上げます。
曲げた膝が下ろしている方の脚の膝より前に出ないように注意します。10秒ほどキープ。


(2)その脚をもっと深く曲げ、かかとをお尻に近づけるようにします。
この時も膝の位置はそのままで10秒ほどキープ。

※左右各10回程度行う


【終わりに】座っている時間を短くする生活を目指そう

 足腰を鍛えるのに有効なウオーキングの場合も、膝を支える太ももを鍛えておくと膝への負担が減り、痛みを起こしにくくなります。歩く前後にしっかりストレッチすることも大事です。

 そういったエクササイズにかかわる注意点のほかに、気を付けてほしいのが日常生活での「座りすぎ」です。健康のため、オフィスでも立って会議をするなど、座りすぎにならないよう工夫をする企業も出てきています。

 家庭でも、じっと座ってテレビを見続けたり、読書や手芸などに熱中するあまり座りっぱなしになったり、といったことにならない暮らし方を心がけましょう。


教えてくれたのは
日本赤十字社
熊本健康管理センター
健康支援課 
山口真由美 さん
 
・(財)健康・体力づくり事業財団
 認定 健康運動指導士
・赤十字救急法指導員