すぱいすのページ

「あれんじ」 2010年9月4日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
気を付けたい子どもの肥満

 子どもの肥満に関して、「小さいうちは太っているくらいが良い」と思われる方もいるかもしれません。しかし、健康を考えると、そうも言っておられません。今回は、子どもの肥満の問題点や改善方法についてお伝えします。

肥満が子どもに及ぼす影響あれこれ

 母子手帳には肥満度を調べるグラフがついています。身長と体重からそのときの肥満度が分かります。2歳を過ぎてからの肥満は後で合併症が生じることがあり要注意です。肥満の主な合併症には以下のものがあります。

◎【脂肪肝】肝臓の細胞に脂肪がたまります。長期間続くと肝臓の働きが悪くなります。
◎【糖尿病】血糖を下げる働きが悪くなり、2型糖尿病になることがあります。
◎【高脂血症】コレステロールや中性脂肪が増えます。成人後の心臓病の原因になります。
◎【黒色表皮腫】首の皮膚が黒ずんで硬くなります。汚れのようですが洗っても落ちません。

 生活習慣が形成される子どもの時期からこのような「肥満症」の予防に取り組みましょう。





子どもの肥満判定は…
肥満度(%)=(実測体重−標準体重)÷標準体重×100
○幼児では15%以上
○学童以降では20%以上
 20〜30%…軽度
 30〜50%…中等度
 50%以上…高度

※標準体重は、かかりつけの小児科医や専門医にお尋ねください


肥満解消に向けて

 子どもは身長が伸びているため、減量の必要はほとんどありません。また極端な食事制限もよくありません。これから生涯にわたる食事や運動の生活習慣を整えることが重要です。
 炭水化物や脂肪を減らし、その代わりに食物繊維とタンパク質を十分に取りましょう。嫌いなものでも一口は食べてください。ジュースなど糖分の入った飲み物を避けましょう。運動が苦手であれば、普段の生活の中で運動しましょう。親と一緒に歩いて買い物に行く、休日は必ず外で体を動かすなどがお勧めです。


熊本大学医学部附属病院
小児科
講師 中村公俊

 肥満の子どもに合わせて、家族で食事や運動などの生活習慣を変えてみてください。また、肥満度や肥満症の評価はかかりつけ医に相談してください。