【元気!の処方箋】
2030年には100万人を突破する!? 心房細動(しんぼうさいどう)とはなにか?
「不整脈」や「心房細動」など耳にする機会があります。字を見ると、なんとなくイメージがつかめそうな気がしますが、具体的なことは知らない人が多いのではないでしょうか。 そこで今回は、不整脈と、その中の一つである心房細動についてお伝えします。 |
【はじめに】最も多い不整脈の一つ 高齢になるにつれ増加 |
【図1】刺激伝導系
心臓は左右の心房と心室という4部屋に分かれており、それぞれの部屋の心筋の収縮と拡張により、リズミカルに血液を吸入し送り出しています。 |
【心房細動とは】 |
【図2】心房細動の発生機序
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心不全や脳塞栓(のうそくせん)症の原因に |
【図3】心房細動で生じた血栓が引き起こす塞栓症の合併
心房細動は主に左心房の肺静脈との境界部から、洞房結節とは異なる異常な電気信号(期外収縮)が発生することにより、心房内に不規則な電気的興奮が持続するようになったものをいいます(図2)。 |
リスクを知って予防を |
心房細動が原因で起こる脳塞栓症は、もともとの血栓のサイズが大きく、脳の比較的大きな血管を閉塞するため広範で重症の脳梗塞を生じます。ですので、予防が大変重要です。 |
7日以上続く持続性心房細動 |
【図4】心房細動の検査
心房細動は発生初期には自然停止する場合が多く、7日以内に自然停止するものは発作性心房細動と定義されます。 |
【心房細動の治療】 |
【図5】
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薬物やカテーテル アブレーション治療など |
【図6】高周波カテーテルアブレーション
心房細動に対しては、心拍数をコントロールする薬や、心房細動が起こるのを抑制するための抗不整脈薬投与が行われます。 |
早期の治療で高い効果 |
この治療は心房細動が早期の段階、すなわち心房の変性や拡大が起こっていない発作性心房細動で高い治療効果が望めます。 |
【終わりに】 |
心房細動は中年以降の比較的高齢者で発症が多い不整脈です。また血圧の高い人ほど多く認められます。初期の段階で発見し適切な治療を行うと根治する可能性が高くなります。 |
執筆いただいたのは |
熊本大学医学部附属病院
不整脈先端医療講座 山部浩茂 特任教授 ・日本内科学会認定内科医、認定指導医 ・日本循環器学会認定循環器専門医、 認定指導医 ・日本不整脈心電学会認定不整脈 専門医 ・日本不整脈学会植え込み型除細動器施設認定医 ・日本不整脈学会心臓再同期療法施設認定医 |