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「あれんじ」 2017年4月1日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
子どもの紫外線対策

 おばあちゃんが赤ちゃんに日光浴をさせろと言います。紫外線の害の方が今は怖いと聞きますが…。

分かってきた日焼けによるダメージ

 健康のために日光浴が大切だといわれていた時期もありましたが、現在では母子手帳でも日光浴は勧められていません。日焼けによる皮膚のダメージが皮膚の老化とがんの危険性を増やすことが分かってきたからです。

 このダメージは、日光の中の紫外線によって引き起こされます。紫外線が当たると皮膚の細胞と細胞の間にあるコラーゲンなどに傷がつき、皮膚の弾力性が次第に失われるといわれています。

 また、紫外線は体の設計図であるDNAにも傷をつけます。DNAに長い間繰り返し傷がつくと、がんを起こす原因になることがあります。

 子どもの時は細胞やコラーゲンの置き換わりが活発なので目立った変化は少ないのですが、この変化が次第にたまっていくかもしれません。


春の後半から秋の初めに増える紫外線

 日光に当たった後に皮膚が赤くなる場合は、紫外線から皮膚を守る働きが少ないと考えられます。そのため、紫外線が多くなる春の後半から秋の初めにかけては、日焼け対策が必要です。

 できるだけ直射日光を避け、子ども用の日焼け止めクリームも使ってみてください。日焼け止めには皮膚への刺激が強いものもあるので、使う前に少しだけ子どもの皮膚につけて、腫れやかゆみが出ないかを確認してから使ってください。


紫外線は、ビタミンDの産生に必要

 秋から冬にかけては日光に当たる機会が少なく、母乳を飲んでいる赤ちゃんでは、ビタミンD不足が心配になることもあります。日光による皮膚のビタミンDの活性化が少なくなってしまうからです。過度に日光浴を心配せずに、時々は外に出かけることも必要です。


必要な時季には直射日光を避けるなどの対策を。
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
准教授 中村公俊