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「あれんじ」 2017年3月4日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第60回】11年目の新人

女性医療従事者によるリレーエッセイ 【第60回】

【第60回】11年目の新人
くまもと江津湖
療育医療センター 
医師 齊藤未央

 医師になって11年が過ぎようとしています。

 自分が医師になったばかりの頃、10年を超える先輩先生方は、ベテランで頼もしくて何でも知っていて…という憧れの存在でした。が、今の自分はといえば、恥ずかしながらまだまだ未熟で勉強中の身、といったところでしょうか。

 もともと子どもと接するのが好きで、気付けば小児科医を志していました。

 市中病院の小児科病棟での勤務が主でしたが、出産・子育てでの休職を経て、現在は重症心身障害児/者施設に勤務し一年目です。初めて携わる分野でまだ分からないことも多く、先輩先生、スタッフの方々に指導をいただきつつ、毎日勉強の日々が続いています。

 初めは利用者の皆さんの顔と名前を一致させるのに精いっぱいでした。ようやく慣れてきて、診察の際に笑顔を見せてくれたりすると、満たされた気持ちになります。そうした笑顔や、一生懸命に何かに取り組まれている姿を見ていると、この方たちが健やかで楽しい日々を送れるように、健康を守るお手伝いに全力で取り組みたい、と強く思うようになりました。

 これから、専門的な知識を増やすのはもちろんですが、利用者の皆さんに関して少しでも多くの情報を得、深く知ることで、毎日の診療に生かしていけたらと思います。

 主婦・母親業も完璧とは程遠く、実家も含め家族にはたくさん迷惑をかけていると思います。家族と職場の理解と支えがあり、恵まれた環境で仕事をさせてもらえることに感謝し、少しでも多くのことを吸収し、役に立てる存在に早くなりたいです。