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「あれんじ」 2017年3月4日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
かみつく、たたくなどの行為の意味は?

 1歳9カ月の男の子です。腕にかみつく、顔をたたく、髪をひっぱる、など凶暴な行為をします。放っておいていいでしょうか。

言葉が気持ちに追いつかない

 子どもは発達の過程で、さまざまな感情を表しながら善悪の判断を学びます。同時に、言葉を用いたコミュニケーションが発達することで、次第に感情を上手に伝えることができるようになります。

 このような感情とコミュニケーションの発達の過程で、自分の気持ちや欲求に言語の発達が追い付かず、言葉で伝える代わりにかみついたりたたいたりすることがみられます。ある意味では正常な発達の一つのパターンなのです。

 しかし、相手の痛みや、行為の結果への想像力は乏しいため、思いがけず相手を傷つけてしまいます。


周囲が必要な言葉を補い、善悪を伝えて

 多くの場合、かみついたりたたいたりすることは、何か欲しいとか、友達と関わりたいなどといった気持ちの表れなのです。ですから、ご両親や周囲の大人が、「これが欲しいの?」「一緒に遊びたいのね」など、代わりに言葉にしてあげるとよいでしょう。かみつかれたりたたかれたりした相手にも、「痛かったね、ごめんね」「これが欲しかったみたいだよ」と、その場に必要な言葉を伝えてあげましょう。

 親の承認を得たい、悪い結果になるのを避けたい、という気持ちは、2歳ごろからみられるようになり、これが善悪の感覚の始まりだそうです。言葉で繰り返し善悪の判断を伝えることも大切です。


コミュニケーションが苦手な場合も

 言語の発達が追い付いてくると、感情や要求を言葉で表現できるようになります。3歳から3歳半健診を受けるころになっても、言葉で説明できずに手を出したりかみついたりするときには、コミュニケーションが苦手なのかもしれません。一度、かかりつけ医に相談してみてください。


発達過程における一つのパターンです。3歳半過ぎても変わらなければ相談を
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
准教授 中村公俊