【四季の風】
第36回 冬の島
マニアというほどではないが、島が好きだ。それも、冬の島がいい。荒々しい冬の怒濤を見ていると、どこか漂泊の思いがして、心が落ちつく。とくに小さい島だと、島全体が冬の海に浮遊しているような感じがいい。 最近のお気に入りが、湯島。大矢野島から日帰りできるし、人が少なく車もなくて静か。もちろん天草四郎らの談合から高山右近の話まで、物語もいっぱい。島の大根畑でたっぷり冬日を浴びて、故郷にいるように安らいだり、大根畑の戦死者の墓に胸を打たれたりするのもいい。 |
故郷(ふるさと)にあらねど島の冬あたたか 中正 |
歩兵たりしを冬草の青青と 中正 |