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「あれんじ」 2017年1月14日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
「はしか」と予防接種

若い人の間で「はしか」が流行したと聞き、驚きました。予防接種について教えてください。

重症化すると命にかかわることも

 「はしか」とは、麻疹(ましん)ウイルスによる全身の感染症です。 感染力がとても強く、免疫がなければ、子どもだけでなく大人もかかる病気です。

 発熱・発疹とともにさまざまな合併症を引き起こし、時には重症化して命に関わることもあります。また、妊娠中に「はしか」にかかると、流産や早産を引き起こす可能性があります。

 「はしか」には根本的な治療法はなく、対症療法で症状を和らげるしかありません。予防接種で免疫を作って発症を防ぐことが大切です。

 昨年、関西や関東地方で「はしか」が流行し、20〜30代の患者が最も多く報告されています。これは、この年代の人たちが予防接種を受けていない、あるいは一度受けたが十分な免疫が持続していないため、「はしか」を発症したと考えられます。


自分や子どもの身を守り、感染源にならぬよう

 現在は、1歳と就学前の2回、MR(麻疹風疹混合)ワクチンの定期接種が行われています。1回の接種では十分な免疫がつかない場合もあります。また、1回の接種で免疫がついても、その後の時間の経過とともに、その免疫が低下した子どもたちに再び刺激を与え、免疫を強固なものにします。

 「はしか」に限らず、予防接種は自分の身、子どもの身を守るためのものです。そして、自分自身が、わが子や周囲の人への感染源とならないためにも、しっかりと予防接種を受けましょう!

※予防接種には助成制度がありますが、自治体ごとに内容が異なりますので、詳細はお住まいの自治体に確認しましょう。


感染力が強く、免疫がなければ大人もかかる「はしか」。予防接種で、発症を防ぎましょう。
熊本大学医学部附属病院
小児科
医師 黒澤茶茶(ささ)