【元気!の処方箋】
依存症とはなにか 〜正しく知って治療と支援を〜
「依存症」という病名を聞いたことがありますか。少しずつ知られるようになったものの、正しい理解が広まるには至っていないのではないでしょうか。 そこで今回は「依存症」とは何か、そのメカニズムとともに、どういう治療や支援が必要かをお伝えします。 |
【はじめに】 |
毎日、昼間から酒を飲んで肝臓を悪くしたり、パチンコにはまって借金を繰り返してしまう人がいます。意志や性格の問題として片付けられがちな問題ですが、依存症という「病気」かもしれません。病気であれば意志の力で何とかしようとするのではなく「治療」を考えましょう。 |
@いろいろな依存症 |
【図1】依存症の種類
ある習慣にハマり、それが生活の中心となってしまった結果、家庭や友人関係、仕事などがないがしろになってしまう状態が依存症です。 |
A依存症とはどんな病気か? |
【図2】
【症状】 |
【脳内メカニズム】 |
【図3】
脳内報酬系は、腹側被蓋野(ふくそくひがいや)から側坐核(そくざかく)を介して前頭葉に至り、脳内物質ドパミンの伝達によって快を感じます。 スポーツやゲーム、勉強などで達成感や満足感を得た経験は誰でもあるかと思います。この「快」の感情は、脳内報酬系(図3)と呼ばれる神経ネットワーク内で、ドパミンという脳内物質が放出されることによって得られます。 |
B依存症の治療とは? |
【本人への治療】 |
【家族への支援とアドバイス】 |
【図4】
依存症の本人には「否認」がありますので、周囲から勧められても治療を拒否しがちです。そのような場合は、家族だけでも専門の支援機関に相談すると効果があります。 |
【生きづらさへの共感を】 |
依存症の人は何らかの生きづらさを抱えています。常日頃から抱える不安や苦痛を解消するため、手軽に快を得られる方法に頼ってしまいます。しかし、依存症になれば社会的、対人的な問題が必発するので、ますます生きづらくなります。 |
【メモ】依存症の治療メニュー |
・精神療法 |
C依存症にならないために |
まず、依存症化しやすい物質や行為に手を出さないことです。薬物やギャンブルに手を出さなければ薬物依存症やギャンブル依存症には決してなりません。 |
執筆いただいたのは |
熊本県精神保健福祉センター
矢田部裕介 次長 (精神科医) ・精神保健指定医 ・日本精神神経学会専門医 ・日本老年精神医学会専門医 |