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「あれんじ」 2016年9月3日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第56回】時代の変化とともに

女性医療従事者によるリレーエッセー【第56回】

【第56回】時代の変化とともに
くまもと江津湖療育医療センター
医師 川瀬千晶

 熊本地震から数カ月が経ちました。天災の恐ろしさ、人のつながりの温かさをあらためて感じるとともに、時代の移り変わりも強く感じています。

 医師として社会に出て20数年、子どもを持って17年。社会人としての年月は長くなりましたが、まだまだ初めての体験も多く、学ぶこともたくさんあります。

 20数年前の学生時代はバブルの終盤で、楽観的な雰囲気の中で過ごしました。

 核家族で子育てと仕事を両立させてきたこの17年間は、睡眠時間を削って自分の時間を作るしかなく、日々の暮らしを必死で乗り切ってきたといえるでしょう。

 子どもが成長し、最近は少し時間の余裕が出てきましたが、時に当直勤務も担うようになり、子どものお弁当作りと毎朝格闘中です。また近い将来、親の老後・介護の問題と正面から向き合うことを求められるでしょう。

 18歳から選挙権が認められるようになったことにも大きな時代の変化を感じます。次の時代を担っていく子どもたちの世代が、熊本の復興・日本の未来・暴力が後を絶たない世界などにどのような考えを持ち、政治のリーダーを選出していくのか、非常に興味があり、見届けたい思いです。

 定年退職後には、図書館で本を借り、読みたいだけ読み漁ることと、趣味の手芸にどっぷり浸るという、ささやかな夢を描いております。

 年齢を考えれば、社会人として社会に貢献できる年月は今がちょうど折り返し地点でしょう。老後の夢を温めつつ、今の私にできる社会貢献に励みたいと思います。