すぱいすのページ

「あれんじ」 2016年7月2日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
RSウイルス

Q.孫がRSウイルスに感染したとのこと。私たちが子育てしたころには聞かなかった病名です。どんな病気でしょうか。

感染力が強いウイルス 再び感染することも

 RSウイルスは喉に感染を起こすウイルスです。主に秋から冬にかけて流行しますが、それ以外の時季にも感染がみられ、注意が必要です。

 感染している人の咳やくしゃみから感染したり(飛沫感染)、ウイルスが付着した手や物をなめたりすることにより感染します(接触感染)。感染力が強く、1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子どもが一度はRSウイルスに感染すると言われています。また、一度かかっても免疫ができにくいため繰り返し感染しますが、次第に抵抗力ができ症状は軽くなります。

 主に咳・くしゃみ・鼻水・熱といった風邪症状がみられますが、1歳までの小さなお子さんでは細気管支炎や肺炎になり、息を吐くときにゼーゼーして呼吸が苦しくなることがあります。


元気が出るまで登園は控えましょう

 RSウィルスへの感染は鼻汁で検査することができます。RSウイルスを直接抑える薬はないので、自然に治るまでの間(多くは7〜12日)は、水分を小まめに与え、痰や鼻水を吸ってあげることがとても大事です。咳、鼻水、ゼーゼーなどの症状を和らげる薬もよく用いられます。

 1歳までのお子さんでは、徐々に症状が重くなり入院することも。そのため、水分(ミルク)が飲めているか、ある程度まとまって眠れているか、顔色が悪くないかなどを観察しましょう。苦しい様子が強くなってきている場合は早めに受診しましょう。

 咳などの症状が落ち着き、元気が出てくるまでは登園は控えたほうがよいでしょう。子どもから大人に感染することもあります。予防にはマスクと手洗いが有用なので、保育者もマスクと手洗いを心がけましょう。


1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子どもが一度は感染します
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
助教 三井一賢(かずまさ)