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「あれんじ」 2016年6月4日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
誤飲

 友達の子どもが床に落ちていた物を飲み込んで大騒ぎになったと聞きました。誤飲について気を付けるべきことを教えてください。

気を付けたい ボタン電池やたばこ

 誤飲とは、食物ではない有害な物を飲み込んでしまうことです。乳幼児は何でも口に入れ、思いがけない物でも飲み込んでしまいます。ほとんどの場合、便と一緒に排泄され、体に害を及ぼすことはありません。しかし、急いで治療しないといけない物もあり、注意が必要です。
 ボタン電池は胃酸で金属が腐食し、中に入っているアルカリ性物質が流れ出て胃の壁を傷めることがあります。おもちゃから外れた電池を飲み込むこともあるようです。
 たばこの葉に含まれているニコチンには毒性があり、食べてしまうと、たばこ1本分で命にかかわることがあると言われています。たばこを水に浸した液を飲んだときは毒性が出やすいため、すぐに病院で処置が必要です。
 灯油をペットボトルに小分けしたり、給油ポンプ収納時の受け皿にジュースの空き缶などを使ったりした場合に、間違えて飲んでしまうことがあります。肺炎や嘔吐下痢を起こすことがあり、すぐに病院で処置が必要です。


多い身近な物の誤飲 置き場所に注意を

 そのほか、化粧品、内服薬、漂白剤や洗浄剤など、身近な物を誤飲することが多いようです。誤飲した物が分かると処置しやすいので、飲み込んだ物の残りがあれば病院に持って行くとよいでしょう。
 しかし、本当に大切なのは予防です。誤って口に入れてしまいそうな物を、床や子どもの手の届くところに置かないようにしましょう。また、空き缶や食器の中に食べ物ではない物を入れてはいけません。「日本中毒情報センター」のホームページには予防の注意点や誤飲時の対応が掲載されています。一度目を通しておくと参考になります。


熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
准教授 中村公俊

大切なのは予防。空き缶や食器の中に食べ物ではない物を入れないように