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【四季の風】第33回 囀(さえずり)
「囀」の字は、それだけでも何か塊(かたま)りみたいな感じで、この賑(にぎ)やかないのちの塊が頭上に降ってくるようだ。 囀をこぼさじと抱く大樹かな 星野立子 囀やピアノの上の薄埃(うすぼこり) 島村 元 囀に色あらば今瑠璃(るり)色に 西村和子 一句目は「こぼさじと抱く」と、愛情たっぷりで頼もしい大樹の句、二句目は繊細で、久しく音を発しないピアノと囀の対比の句、三句目は生き生きとした色彩感覚の句。どれも好きな句だ。 囀も靴音も絶え果てし町 岩岡中正 春寒や人知及ばぬことばかり 〃 これらは、三・一一の震災時の句。あれからもう五年がたった。