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「あれんじ」 2015年12月5日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第50回】入院生活を経験して見えたもの

【第50回】入院生活を経験して見えたもの

【第50回】入院生活を経験して見えたもの
独立行政法人国立病院機構
熊本再春荘病院小児科
非常勤医師 上野 弘恵

 2児を出産後、育児に追われ、小児科医の仕事を続けるのは無理なのかもしれないとあきらめ気味だったころ、手術が必要な病気を経験しました。夫と子どもたちを残し、手術のために県外の病院に入院した時は、とても心細く不安でした。

 主治医の先生にたくさん質問をしましたが、先生は嫌な顔ひとつせず丁寧に答えてくださり、「お子さんたちのためにも早くスッキリ治して帰りましょう」と励ましていただきました。

 主治医の先生をはじめ、病室を訪れる看護師さんたちは温かく、とても輝いて見えました。「こんなに素敵な仕事を私はしていたんだよね」と実感し、「私も小児科医として早く診察室に戻りたい」と強く思いました。

 その後、幸い現在の病院で小児科の非常勤医師として診療をさせていただき、今年で5年目になります。神経系の病気のお子さん、なかでも「てんかん」というけいれんや意識の消失などを起こす病気のお子さんを多く診察しています。いつ発作が起こるか分からない不安を抱える患者さんとご家族に、早く安心して過ごせる日々が来るように願いながら、薬の調整を続けます。そうして発作が起こらなくなった時は心の底からうれしく感じます。

 今、上司や同僚の医師、スタッフ、そして家族の支えのおかげで仕事を続けることができていることに、心から感謝しています。育児中で働ける時間に限りがありますが、かつて私の主治医の先生がそうしてくださったように、これからも患者さんとそのご家族にとって最善の治療をともに考えていきたいと思います。