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「あれんじ」 2015年9月5日号

【元気!の処方箋】
若い女性も悩んでいる!?気になるいびき

 中年以降の男性に多いイメージのいびき。しかし実際には、子どものいびきを気にしているお母さんや、若い女性が悩んでいるといった話も多く聞きます。

 そこで今回は、「いびき」がなぜ起きるか、その健康上の問題点と改善・解消に向けての対策を紹介します。(取材・文/坂本ミオ)

【原因】「いびき」はなぜ起こる? 肥満や炎症、あごの状態などさまざまな要因が
【図1】

 いびきは、息の通り道である鼻・喉のどこかが狭くなることで起きます。

 寝ると、舌の付け根は奥に下がります。また、その周りの筋肉も緩むので、起きているときより喉は狭くなります(図1)。そこに、

◎肥満によって咽頭部(特に 舌の付け根)に内臓脂肪がついている
◎扁桃肥大
◎舌が大きい
◎アレルギー性鼻炎や慢性副 鼻腔炎、咽頭炎など上気道 の炎症がある

といった【軟部組織の因子】や、

◎下あごが未発達、小さい
◎あごが後方に偏っている

といった【頭蓋顔面骨の因子】、

◎仰向けで寝る
◎あごを引くような形で首を 曲げて寝る

といった【体位の因子】が、いびきをかく・かかないやその程度に影響しています(図2)。


【図2】いびきの原因


【対処】いびきに悩んだら… 扁桃肥大の確認を
【図3】扁桃肥大

 子どものいびきの場合、扁桃肥大(図3)やあごの未発達によるものが考えられます。

 子どもの扁桃腺は一般に大きいのですが、7〜8歳くらいをピークに小さくなります。小さくなることでいびきや無呼吸が改善することも多いので、それまで様子を見てもいいかもしれません。

 また最近は、軟らかい食べ物を好む傾向があるためか、全般的にあごが小さい傾向にあります。あごの大きさは歯並びだけでなく、いびきにも関係します。成長の途中にある子どもは、あごもまだ成長する可能性があります。必要以上に心配しないで見守りましょう。

 成人の場合もまず、扁桃肥大がないかを確認します。扁桃肥大が原因で息の通り道を閉塞していると考えられる場合、摘出手術という方法が選択できるからです。

 しかし、複合的な要因によっていびきが起きていることもあります。摘出したから必ずいびきが治まるとは言えません。また、咽頭部に内臓脂肪がついて息の通り道を狭めている場合は外科的な処置を施すことができません。


病気を見つけるチャンスと捉えて

 いびきの問題は、自身の睡眠の質が下がること、同室で休む家族の快適な睡眠を妨害すること、それによって翌日の日中の活動に影響を及ぼすこと…だけではありません。

 いびき自体は病気ではありませんが、病気の症状として出る場合があるという認識が必要です。

 いびきと呼吸停止が交互に繰り返される閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)や、肥満が原因となって起きる高血圧や糖尿病などの生活習慣病、あるいは心臓疾患などの症状の一つとして現れる場合もあります。


多科での診療対象に

 では、一体どの診療科にかかればいいのでしょうか。

@鼻や喉に問題がありそうな場合

 耳鼻咽喉科で診てもらい、そこで鼻・喉の形態や病気の有無を確認する。結果によっては手術や指導を受ける

Aいびきとともに無呼吸があり、耳鼻科の対象でない場合 

呼吸器内科などで、ポリソムノグラフィー(筋肉の動きを見る検査)によって、無呼吸が起きる閉塞の型を調べ、診断・治療を受ける

Bあごに問題がありそうな場合 

歯科・口腔外科を受診する

など、多科での診療が考えられます。例えば最初に耳鼻科に行き、そこでの診療を経て、適切な科を紹介してもらうといった流れが考えられます。

 そして、例えば呼吸器内科でOSASと診断されたら、その治療を進めることで、高血圧や不整脈、その先にある脳卒中を防ぐことにもつながるのです。


日常生活での改善法

 いびき自体の解消に「これ!」という有効な方法があるわけではありません。ただ、成人で最も多いのは、肥満によって咽頭部に内臓脂肪がついているケースです。ということは、「減量して脂肪を減らす」ことは、自分でできる最善の対処法といえます。

 就寝時は、舌の付け根が落ち込まないよう、なるべく横向きで寝ることを勧めます。眠っている間に寝返りによって仰向けにならないよう、背中や腰当たりにクッションを置くなど工夫すれば、よりいいかもしれません。

 また、高い枕に頭を載せることであごを引いた状態になってはいないでしょうか。首がゆっくり伸びる程度の自分に合った枕を使用する、などはすぐにでもできる改善策です。

 過度の飲酒や、カラオケで歌い過ぎるなども要注意です。喉に浮腫(水ぶくれ)が生じ、これも、いびきの原因になります。いつものことではないかもしれませんが、注意しましょう。


取材を終えて

 肥満や飲酒などが関係すると聞き、「中年以降の男性に多い」という傾向は、イメージだけでなく確かにあるのかもしれないと思いました。

 しかし、アルコールを取る女性は多いですし、更年期以降は太る傾向があるので、性別や年齢に関係なく気を付けたいですね。

 それにしてもやはり肥満は万病の元。適正な体重を維持することが、健康管理の第一歩だとあらためて感じました。


話を聞いたのは

熊本大学医学部附属病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科

熊井 良彦助教

中耳手術、人工内耳、側頭骨顔面神経手術、
喉頭基礎(神経喉頭学と瘢痕声帯)、頭頸部腫瘍手術が専門
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・がん治療認定医