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「あれんじ」 2015年8月1日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
肘内障(ちゅうないしょう)

 3歳の子の腕が急に上がらなくなり痛がったので受診したところ、その場で先生が処置されて治りました。それだけで大丈夫なのでしょうか。再発しないか心配です。

肩を触っても痛がらず片方の腕だけ肘を伸ばす状態に

 子どもの手を引っ張った後などに、急に腕を上げなくなって痛がるときは、肘内障を疑います。
 肘内障は、肘から手首までの内側と外側にある尺骨(しゃっこつ)と橈骨(とうこつ)をつないでいる靱帯から、橈骨がはずれそうになることで起こります。肩を触っても痛がらず、片方の腕だけ肘を伸ばした状態で下げ、手のひらを後ろにしているときは特にその可能性が高いです。
 2〜3歳ころの幼児に多く見られ、小学校へ入学するころ以降は、骨や靭帯の発達が進んでほとんど起こらなくなります。


骨を元に戻す整復を行い手術は必要ありません

 治療は、靭帯から外れかかった骨を元に戻す整復を行います。手術は必要ありません。肘内障であれば整形外科でも小児科でも、道具を使わずに整復できることが多いです。
 元に戻ったら、普段と同じように腕を使ってかまいません。
 肘内障は子どもの手を急に引っ張ったり、危ない時などに手首をつかんで引き止めたりした際に起こりやすいです。
 手首ではなく手のひらを握るようにすると、やや起こりにくくなります。再発することも珍しくないので、同じように手を引っ張った時にはまた起こることがあります。
 繰り返す場合は、治療を受けたときに治し方を聞いておくのもよいでしょう。
 ただし、肘内障だと思っていたら骨折や脱臼をしていたということもあります。自分で無理に治そうとせずに整形外科や小児科を受診する方が安心かもしれません。


再発することはありますが、小学生になるころには起こらなくなります
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
准教授 中村公俊