【元気!の処方箋】
よく聞くけれど、よくは知らない「ヘルペス」〜単純ヘルペスと帯状疱疹〜
唇と肌の境目にぷつっとできるのも「ヘルペス」なら、強い痛みで知られる帯状疱疹も「ヘルペス」? 今回は、「よく聞くけれど、よくは知らない」ヘルペスについてお伝えします。 |
【はじめに】 |
【図1】
ヘルペス(疱疹)とは、はれぼったい赤い斑の中に、粟粒大の透明な水ぶくれ(水疱)あるいは、黄色い水ぶくれ(膿疱)が集まり発生した状態(図1)を指します。 |
【再発型単純ヘルペスと帯状疱疹発症の経緯】発熱・紫外線・ストレス・疲労などでウイルスが再活性化 |
ヘルペスの原因となるウイルスは生まれつきヒトに感染しているものではなく、生後に初めて感染(初感染)します。それぞれのウイルスに特有な症状を呈し、感染したことを患者さん本人が気づく場合(顕性感染)と、症状が軽く、感染したことに気づかない場合(不顕性感染)があります。単純ヘルペスウイルス1型は不顕性感染のことが多く、同2型と水痘・帯状疱疹ウイルスは大半が顕性感染と考えてよいようです。 |
【単純ヘルペスと帯状疱疹それぞれの特徴】再発を繰り返す単純ヘルペス 激しい症状を来す帯状疱疹 |
単純ヘルペスには、口唇ヘルペスと臀部(性器)ヘルペスに代表される、部位名を冠したヘルペス感染症が9つほど挙げられます。 |
【図2】帯状疱疹
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【単純ヘルペスと帯状疱疹 違いは何?】帯状疱疹は治療を間違えると運動神経まひなどを起こす心配も |
【図3】単純ヘルペスウイルスと水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化時の挙動の違い
【単純ヘルペスウイルスの場合】 単純ヘルペスウイルスは神経線維のなかを下降し、 神経終末で増殖し、散在性の病変を形成する 図3に示すように、単純ヘルペスウイルスは、血液やリンパ液に触れることなく神経線維のなかを知覚神経節から皮膚まで移動し、表皮直下の神経終末で免疫細胞に初めて出会います。そのため免疫力を高めるようには作用せず、炎症反応も極めて弱く、再発を抑制できません。その一方で炎症反応が弱いために症候性神経痛も弱くて済んでいるものと理解できます。 |
【水痘帯状疱疹ウイルスの場合】
水痘・帯状疱疹ウイルスは神経線維束に沿って下降し、 神経支配領域に沿って増殖し、帯状疱疹を発症する |
【診断(検査)と治療】抗ウイルス薬の処方を早期に 帯状疱疹部は冷やさないように |
【図4】ウイルス性巨細胞
診断には症状でおおよそ事足りますが、確認のため次の手順で検査を行います。 |
執筆いただいたのは |
くまもと森都総合病院
城野 昌義 副院長 熊本大学医学部昭和48年卒 熊本大学医学部医学科臨床教授 熊本皮膚科医会会長 日本皮膚科学会専門医 難病指定医 |