【専門医が書く 元気!の処方箋】
治療、適度の運動で進行を防ぎたい パーキンソン病
手足のこわばりや震えなどの症状が知られているパーキンソン病。進行に伴い症状が重くなったり、異なる症状が現れたりするだけに、早めの診断と治療が大事です。 今回はパーキンソン病の原因や症状、治療などについてお伝えします。 |
パーキンソン病とは |
1817年に初めてこの病気を報告した英国の医師ジェームズ・パーキンソンの名前にちなんでパーキンソン病と呼ばれるようになりました。 |
症状 |
初発症状は安静時の震えが多く(約70%)、ついで小刻み・すり足歩行(12%)、手足のこわばり(10%)、動作緩慢(10%)などが続きます。 |
診断 |
【図1】症状の重症度と日常生活障害度
山本光利:パーキンソン病Q&A.1995より引用、著者改変 手足の震え(振戦)、こわばり(筋固縮)、動作が遅い(動作緩慢)、バランスが保てない(姿勢反射障害)といった中核となる運動症状の中で1つ以上の症状があり、他の原因(脳卒中、特定の薬の服用、脳腫瘍、頭部外傷、CO中毒、脳炎罹患後、他の変性疾患など)を除外できて、抗パーキンソン病薬で症状が改善する場合にパーキンソン病と診断されます。 |
原因 |
遺伝性(家族性)のものと非遺伝性(孤発性)のものがあり、後者が全体の90%を占めます。原因はまだ明らかにはなっていませんが、近年Braak(ドイツの病理学者)が堤唱している仮説が注目されています。すなわち、嗅粘膜と腸管の上皮から中枢神経系(脳)に向かう未確認の病原体が侵入して、レヴィ小体と呼ばれる神経細胞内封入体を形成してパーキンソン病を引き起こすという説です。 |
治療 |
薬物療法と非薬物療法(定位脳手術、刺激療法、細胞移植、遺伝子治療、リハビリテーション)があります。薬物療法とリハビリテーション(メモ)が治療の両輪となるように思います。 |
【メモ】リハビリテーション |
【図2】【ねじり運動】
腰のねじり運動は、寝返り動作の準備としても重要です。 ラジオ・テレビ体操で行われているような運動のほか、手すりにつかまってスクワットなどを毎日続けることが望ましいと思います。 |
【スクワット運動】
きつい場合は無理せず手すりにつかまって。 |
【バランス訓練】
四つばいになり、それぞれ反対側の腕と足をあげてバランスをとります。 |
パーキンソン病と上手につきあうために |
◎パーキンソン病とはどのような病気かを知ることが大切です。 |
執筆いただいたのは |
城南病院
内野 誠 院長 熊本大学名誉教授 熊本保健科学大学特任教授 日本神経学会専門医・指導医 日本脳卒中学会専門医 日本認知症学会専門医・指導医 |