【四季の風】
第28回 山眠る
![]() |
俳句では、山は冬になると眠るとされる。「山眠る」は冬の季語。冬山が、まるで胡坐でもかいて静かに眠ってしまったと見立てた先人たちのセンスには驚くが、本当にそう見えるのだ。山の獣たちが冬眠するように、山もまた深い眠りにつくという発想は、いかにも大らかで童話的でいい。なかには、ふっとうたた寝して眠りこんでしまったドジな山もあるかもしれない。 |
風が息するといふ音山眠る 山下接穂(つぎほ) |
迂闊(うかつ)にも眠りし山もあるならん 岩岡中正 |