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「あれんじ」 2014年12月6日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第42回】妊娠糖尿病の診療で思うこと

女性医療従事者によるリレーエッセイ【第42回】

【第42回】妊娠糖尿病の診療で思うこと
国立病院機構熊本医療センター
糖尿病・内分泌内科/救命救急・集中治療部 
医師 橋本 章子

 「今日で30週になりましたね。妊娠経過は順調ですか?」。外来でこんな会話を1日に何度もすることがあります。私の専門は糖尿病・内分泌内科で、妊娠糖尿病の妊婦さんをたくさん診ています。

 通常の糖尿病と診断されるほどの高血糖ではなくても、妊娠中の高血糖はお母さんにも赤ちゃんにもさまざまな問題が起こる確率を高くするといわれているため、診断基準も厳しく、妊婦さんの12%ぐらいの方が妊娠糖尿病と診断されるといわれています。

 食事療法や、場合によってはインスリン注射を行う必要がありますが、きちんと管理していけば大丈夫です。一緒に治療に取り組んでこられた方が無事に元気な赤ちゃんを出産されたとうかがう時は、なかなかゴールの見えない糖尿病治療の中では珍しく達成感を感じる瞬間です。

 また、妊娠糖尿病の方は将来2型糖尿病発症のリスクが高いといわれています。妊娠糖尿病と診断されるとショックですが、ポジティブに考えると、妊娠中に糖尿病について学んで食生活を見直すことは、その後のご自身、またご家族の糖尿病予防に役立つに違いありません。

 ひとまずのゴールは無事に出産を迎えることですが、治療する側としては、「妊婦さんを一人しっかり指導すれば、何人分かの糖尿病を予防できるかも」と欲張りなことを考えています。と、大きなことを言ってみましたが、私自身もハイリスクの条件を満たしているので他人ごとじゃありません。素早く仕事を終わらせて、適切でおいしい晩ごはんを作らねば!