【専門医が書く 元気!の処方箋】
加齢のせい? それとも病気?改善したい頻尿
「おしっこが近い、回数が多い」という悩みはありませんか。年齢とともに、その自覚がある人が多いようです。そこで今回は、「頻尿」と呼ばれるこの症状を改善するための対策や、そこに隠れているかもしれない疾患について専門医に聞きました。 |
頻尿とは 目安は1日8回以上 水の飲み過ぎに注意 |
「尿が近い」「尿の回数が多い」症状を頻尿と呼びます。おおよその目安は、朝起きてから寝るまでの間に排尿が8回以上の場合とされています。 |
加齢によって落ちる新陳代謝 |
1日に必要な水分は、体重の2〜2・5%と言われています。体重が60`の人であれば、およそ1200ccで十分ということになります(図1)。もちろん夏場や汗をかいた場合は、もっと多くの水分を必要とすることもあるでしょう。一方で、汗をあまりかかない冬では、水分はほぼそのまま尿として排出されるため、どうしてもトイレに行く回数が増えます。 |
【メモ】生活の質落とす「夜間頻尿」 見直したい就寝前の水分摂取 |
夜、寝てから排尿のために起きなければならず、気になっている人もいると思います。排尿のため夜間に1度以上起き、これによって睡眠が妨げられるなど生活の質が下がる場合を「夜間頻尿」といいます。 |
頻尿の原因となる疾患 問診〜検査で適切な治療を |
尿意を感じてしょっちゅうトイレに行くのに、尿があまり出ないということもあります。これは膀胱が過敏になっているため、尿がたまっていないのにもよおしてくるもので、脳疾患による神経因性膀胱や前立腺肥大による場合などもあります。これらは、適切な薬による治療で改善できます。 |
頻尿の原因疾患(1) 【前立腺肥大症】 |
男性だけが持つ臓器である前立腺は膀胱の下にあり、中を尿道が通っています(図2)。個人差はありますが、前立腺は60歳くらいから加齢とともに大きくなります。それによって尿道や膀胱が圧迫され、さまざまな排尿障害がでてくる病気が前立腺肥大症です。 |
頻尿の原因疾患(2)【過活動膀胱】 |
突然襲ってくる強い尿意で、我慢できないような状態になったことがありますか。そのようなことが週に1回以上ある場合を、過活動膀胱といいます。我慢しなければならない状況下では尿を漏らしてしまうこともあります。最近の調査では、40歳以上の男女の8人に1人に症状が見られると報告されています。 |
日常生活でできる頻尿改善のためのトレーニング【膀胱訓練】 |
尿意を我慢する練習を、短い時間から始めて、少しずつ時間を延ばしていきます。 |
日常生活でできる頻尿改善のためのトレーニング【骨盤底筋体操】 |
弱った骨盤底筋を鍛え、筋力をつけるために、尿道・肛門・腟をきゅっと締めたり、緩めたり2〜3回繰り返します。その後、ゆっくりと締めて3秒間ほど静止。ゆっくり緩めるのを2〜3回繰り返します。徐々に引き締める時間を延ばしていきます。 |
話を聞いたのは |
熊本大学大学院生命科学研究部
泌尿器科学分野 杉山 豊 助教 日本泌尿器科学会指導医 日本泌尿器科学会専門医 日本がん治療認定医機構認定医 熊本大学医学部附属病院 代謝・内分泌内科 |