あれんじのページ

トップページあれんじのページ「あれんじ」 2014年12月6日号 > 加齢のせい? それとも病気?改善したい頻尿

「あれんじ」 2014年12月6日号

【専門医が書く 元気!の処方箋】
加齢のせい? それとも病気?改善したい頻尿

「おしっこが近い、回数が多い」という悩みはありませんか。年齢とともに、その自覚がある人が多いようです。そこで今回は、「頻尿」と呼ばれるこの症状を改善するための対策や、そこに隠れているかもしれない疾患について専門医に聞きました。

頻尿とは 目安は1日8回以上 水の飲み過ぎに注意

 「尿が近い」「尿の回数が多い」症状を頻尿と呼びます。おおよその目安は、朝起きてから寝るまでの間に排尿が8回以上の場合とされています。

 しかし、1日の排尿回数には個人差があります。8回以上あるから必ずしも頻尿というわけでもなく、逆に8回以下でも、本人は「トイレが近くて困る」という感覚があれば、頻尿ということになります。

 頻尿がなぜ起こるか。その原因に疾患が関係していないかを確認するために大事なことは、問診です。基礎疾患がないかを確認したら、普段の生活の中で水を取り過ぎていないかを確認します。

 健康のために水を取ることは良いことだと言われています。もちろん、それは間違いではないのですが、必要以上の水分摂取=「多飲」による頻尿が多いのも事実です。


加齢によって落ちる新陳代謝

 1日に必要な水分は、体重の2〜2・5%と言われています。体重が60`の人であれば、およそ1200ccで十分ということになります(図1)。もちろん夏場や汗をかいた場合は、もっと多くの水分を必要とすることもあるでしょう。一方で、汗をあまりかかない冬では、水分はほぼそのまま尿として排出されるため、どうしてもトイレに行く回数が増えます。

しかも、人は加齢とともに新陳代謝が落ち、汗をかきにくくなるため、年齢が高くなるほど、頻尿になりやすいのです。


【メモ】生活の質落とす「夜間頻尿」 見直したい就寝前の水分摂取

 夜、寝てから排尿のために起きなければならず、気になっている人もいると思います。排尿のため夜間に1度以上起き、これによって睡眠が妨げられるなど生活の質が下がる場合を「夜間頻尿」といいます。

 就寝前に水を飲むと、血液がさらさらになり、脳梗塞などの予防になると思い、トイレに立つ煩わしさを感じつつも、寝る前の飲水を習慣にしている方もいるかもしれません。

 しかし医学的には、寝る前に少しの水を飲んだからといって、血液がさらさらになるということはないとされています。

 また夜間頻尿は、寝る前の飲水量だけが問題ではありません。高齢者の場合は特に、日中の飲み過ぎ分が日中に排出されてしまわず、夜間安静になってから尿がたまり、多尿になることが多いのです。

 水を飲んでも夜、起きないという人はいいですが、もし1度でも行き、しかもその後、なかなか寝付けないという人は、寝る前の数時間は水分を取らず、体にたまった水分を寝るまでに出してしまうようにしましょう。


頻尿の原因となる疾患 問診〜検査で適切な治療を

 尿意を感じてしょっちゅうトイレに行くのに、尿があまり出ないということもあります。これは膀胱が過敏になっているため、尿がたまっていないのにもよおしてくるもので、脳疾患による神経因性膀胱や前立腺肥大による場合などもあります。これらは、適切な薬による治療で改善できます。

 ここで初めて頻尿の原因となる疾患名が出てきましたが、頻尿の訴えから診断、治療への流れは、左図のようになります。

 これらを通して、診断されることが多い前立腺肥大と過活動膀胱についてお伝えします。


頻尿の原因疾患(1) 【前立腺肥大症】

 男性だけが持つ臓器である前立腺は膀胱の下にあり、中を尿道が通っています(図2)。個人差はありますが、前立腺は60歳くらいから加齢とともに大きくなります。それによって尿道や膀胱が圧迫され、さまざまな排尿障害がでてくる病気が前立腺肥大症です。

 尿意を感じる回数が増える/特に夜間頻尿になる/排尿しても出し切れていないような残尿感がある/尿の勢いが弱かったり、途切れたりする。こういった症状があれば超音波検査などを受け、診断されます。

 治療には、尿道を広げる薬や膀胱が過敏になるのを抑える薬、前立腺肥大を抑える薬などを処方することで、症状を改善できます。


頻尿の原因疾患(2)【過活動膀胱】

 突然襲ってくる強い尿意で、我慢できないような状態になったことがありますか。そのようなことが週に1回以上ある場合を、過活動膀胱といいます。我慢しなければならない状況下では尿を漏らしてしまうこともあります。最近の調査では、40歳以上の男女の8人に1人に症状が見られると報告されています。

 原因には、脳と膀胱を結ぶ神経伝達経路が障害される神経性(脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、パーキンソン病、脊柱管狭窄症など)と、明らかな原因が特定できない非神経性(出産、加齢、特発性など)があります。

 いずれも、原因に応じた治療やトレーニングの指導(図3)、食生活の見直しなどで、改善できます。

 過活動膀胱による場合だけでなく、尿失禁で困っている人は多いと思われます。しかし、「年だから」「恥ずかしいから」といった理由で受診しない傾向があるようです。長くなった人生、せっかくなら生活の質を高めたいものです。軽症であれば改善することが多いので、受診することをお勧めします。


日常生活でできる頻尿改善のためのトレーニング【膀胱訓練】

 尿意を我慢する練習を、短い時間から始めて、少しずつ時間を延ばしていきます。
最初は3分くらいから、できるようになったら5分くらい我慢。尿意を感じるたびにではなく、1日のうち1回でも2回でもOK。

※感染症や前立腺肥大症では症状を悪化させることもあるので、医師の指導に従って


日常生活でできる頻尿改善のためのトレーニング【骨盤底筋体操】

 弱った骨盤底筋を鍛え、筋力をつけるために、尿道・肛門・腟をきゅっと締めたり、緩めたり2〜3回繰り返します。その後、ゆっくりと締めて3秒間ほど静止。ゆっくり緩めるのを2〜3回繰り返します。徐々に引き締める時間を延ばしていきます。


話を聞いたのは
熊本大学大学院生命科学研究部
泌尿器科学分野
杉山 豊 助教

日本泌尿器科学会指導医
日本泌尿器科学会専門医
日本がん治療認定医機構認定医
熊本大学医学部附属病院
代謝・内分泌内科