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「あれんじ」 2014年10月4日号

【熊本を知ろう〜熊本県松橋収蔵庫収蔵品から〜】
カモシカ

 県民から寄贈された貴重な学術資料が約64万点収蔵されている熊本県松橋収蔵庫の収蔵品から熊本の歴史や文化、自然などを紹介します。

 今回は、松橋収蔵庫に保管してある剥製の写真とともにカモシカについてお伝えします。

シカではなくウシの仲間 国の特別天然記念物カモシカ
赤い矢印が眼下腺

 カモシカは、シカではなくウシの仲間です。長くて美しい足を「カモシカのような」と言いますが、これはアフリカに生息し細い足で草原をかけるガゼルのような「羚羊(レイヨウ)」を指しています。カモシカの足は太く短く、お世辞にもスマートとは言えません。

 中国地方を除く本州、四国、九州の山地に分布し、熊本県では大分・宮崎との県境にまたがる九州山地の山奥に生息するカモシカは、その太くたくましい足のおかげで、岩がむき出しの険しい斜面を上手に移動できるのです。

 下の写真の矢印は、においのある分泌液を出す眼下腺です。木の幹や枝にこすりつけてマーキングし、自分の縄張りをアピールします。カモシカの生息する森では、マーキング以外にも大量のふんや、木の幹に角をこすりつけた跡などを見つけることができます。

 このような痕跡は生き物の生態を知る上で貴重な情報で、「フィールドサイン」と呼ばれます。松橋収蔵庫は、動物そのものだけでなく、その動物が残したフィールドサインも集めて調査活動や生態展示の際に活用しています。

 国の特別天然記念物に指定されているカモシカは、近年とても少なくなっています。最大の原因は、食べ物や生息場所が重なるニホンジカの数の急増が挙げられます。10月9、10日には、全国のカモシカ保護指導員と行政担当者による会議が上益城郡山都町で開催され、カモシカの保護対策について話し合いが行われます。(県松橋収蔵庫 小原舞)


2003年上益城郡矢部町の山奥で事故死していたメスのカモシカの剥製。足下にいるのはメスのお腹の中にいた赤ちゃん


カモシカ

(Temminck,1845)
偶蹄目 ウシ科カモシカ属
※図鑑によってはニホンカモシカと表記している場合もあります


熊本県松橋収蔵庫
宇城市松橋町豊福1695
Tel 0964(34)3301

開館時間/ 10時〜17時
休館日/土曜・日曜、祝日
入館料/ 無料
駐車場/ あり