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「あれんじ」 2014年9月6日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
成長曲線

【Q】うちの子は生まれたときから小さく、成長曲線の範囲の下です。大きくなってくれると思ってはいますが、不安です。

病気が隠れていないかを知るきっかけに

 成長曲線とは身長や体重などの発達の程度を、縦軸に調べたいデータ、横軸を年齢にしたグラフで表した曲線です。年齢ごとの平均値を結んだ曲線と、その上下の標準的な範囲を示す曲線とが描かれています。

 標準的な範囲には2種類あり、データのばらつきを表す標準偏差で表すものと、小さいほうから順番に並べ何パーセント目に当たるかを示すパーセンタイルで表すものがあります。病院で使われるものの多くは標準偏差曲線で、統計学的に平均からどの程度離れているかを表しています。母子手帳にはパーセンタイル曲線が載っています。

 身長が成長曲線から低い方に外れているときには、身長の伸びが悪くなる病気が隠れていることがあります。例えば、成長ホルモン分泌不全性低身長症、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、ビタミンD欠乏性くる病などです。これらの診断には専門的な検査が必要です。まずはかかりつけ医に相談してください。


多くは家族性、体質性の低身長

 身長が低いことが病気なのではなく、それをきっかけに治療ができる病気を見つけることが大切です。多くは家族性や体質性と呼ばれる低身長で、調べても異常は見つからないことが多いです。

 病気ではない低身長の場合、治療によって身長を伸ばすことはできません。それぞれの子どもが持つ本来の身長への伸びを妨げないようにすることと、身長にこだわらない自信を育てることが大切です。

 愛情をかけ、得意なことを伸ばして、外でよく遊び、偏食が少ない生活が望ましいのではないかと考えています。


熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
准教授 中村公俊

身長にこだわらない自信も育てたい