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「あれんじ」 2014年7月5日号

【熊本を知ろう〜熊本県松橋収蔵庫収蔵品から〜】
【メガロドンの化石】

 県民から寄贈された貴重な学術資料が約64万点収蔵されている熊本県松橋収蔵庫の収蔵品から熊本の歴史や文化、自然などを紹介します。

 今回は、二枚貝メガロドンの化石についてお伝えします。

赤道を越えて運ばれてきた メガロドンの化石
メガロドンの化石(相良村)

 黒っぽい岩石の中に見える白い筋の一つ一つが、メガロドンといわれる大きな二枚貝の化石の断面です。この標本は、球磨郡相良村で採集されたものです。

 メガロドンは、4億年前から1億年前にかけて生息していた5〜50センチほどの二枚貝です。2億1千万年前に特に繁栄し、多くの種が現れました。そのため、地層の年代を決定できる示準化石として利用されています。日本では、熊本県から高知県にかけて分布する三宝山帯と呼ばれる地質構造帯の中の石灰岩から発見されています。

 メガロドンは、サンゴ礁の中の浅い海で生活していました。三宝山帯でみられるメガロドンの化石を含む石灰岩の層は玄武岩の層の上に堆積しているため、これらは、海底に沈んでいる火山島上に形成されたサンゴ礁であったことが分かります。

 また古地磁気(※)の研究により、三宝山帯のサンゴ礁は南緯20度の位置にあったことが明らかになっています。メガロドンが日本に生息していたというのではなく、メガロドンの化石が南方からプレートに乗って赤道を越え移動してきて、日本列島の地層の中に付加されたことがうかがい知れます。

 なお、わが国におけるメガロドン研究の契機となった「槍倒しの瀬の河床のメガロドン化石」(球磨村)は県の天然記念物に指定されています。(県松橋収蔵庫 川路芳弘)


槍倒しの瀬でみられるメガロドン(球磨村)

熊本県松橋収蔵庫
宇城市松橋町豊福1695
Tel 0964(34)3301

開館時間/ 10時〜17時
休館日/土曜・日曜、祝日
入館料/ 無料
駐車場/ あり