【四季の風】
第26回 泉
泉といえば、水の湧き出るところ。たとえば「長命水」というように、いのちのシンボルみたいにこんこんと湧く、いかにも涼しげな、夏の季語です。 「泉」の語源は「出(い)づ水(み)」ですが、私は「泉」の季語から、どうも洋風の印象を受けます。それは、私がこの季語から西洋画をイメージしたからかもしれませんが、何より私が最初に出会って感動した次の句のせいでしょう。 |
いのち短し泉のそばにいこひけり 野見山朱鳥(のみやまあすか) |
一方で雄々しく若々しくロマンティックで、他方病がちで薄命で美しい、朱鳥らしい句です。実は朱鳥は若いころ画家をめざしたほどでしたから、この句の美意識は洋画につらなるもののように思われます。 |