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「あれんじ」 2010年7月3日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第四回】一人前への道のり

女性医療従事者によるリレーエッセー 慈愛の心 医心伝心 【第四回】

【第四回】一人前への道のり
熊本労災病院
消化器内科
医師 藤江 里美

 医師として臨床の現場に出てはや6年。といっても現在の消化器内科を専門に選んだのは3年目からで、まだ消化器
内科医としては4年目と新米です。
 病棟を歩いていると、患者さんに「看護婦さん、そこの入れ歯ば取ってくれんかい…」と呼び止められます。「病院内で白衣を着た女性」=「看護師」という印象が強いのでしょうね。
 そんな人生の大先輩である患者さんを前に、病状を説明する時が一番緊張します。私のような若輩者を「先生」と呼び、こみ上げる不安を抑えつつ話を聞いて下さる以上、こちらも一言一句言葉を選んで分かりやすく、そしてご本人とご家族にしっかりと伝わるよう説明することを毎日心がけています。
 同じ病気であっても、症状はそれぞれ異なり、施す治療内容も変わってきます。正直まだまだ経験の浅い私は、上司の先生方に、自分の考えは間違ってはいないか、先生ならばどうされるかと尋ねることもあります。それは私の所属する消化器内科のみに限らず内科全体、さらには病院全体の診療科の先生にも及びます。そうすることで、患者さんにとってより良い医療が提供できればと考えるからです。今の職場はそれが可能な環境であり、そういった中で仕事をさせていただけて、毎日がとても充実しています。
 一人前への道のりは、まだまだ長そうですが、そんな中でも私が担当医で良かったと思ってもらえるように、全力で患者さんと向かい合うことだけは、常に忘れずにいたいと考えています。