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「あれんじ」 2014年6月7日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
クレーン現象か心配です

 うちの子は、自分が取りたいものを親の手を使って取らせようとします。インターネットで調べてみたところ、クレーン現象と言われるものらしいのですが、クレーン現象イコール自閉症のような記述があり、心配です。

相手の手を引っ張って要求を達成する動作

 クレーン現象とは、子どもが何かをしてほしいときに、相手の手を引っ張ってその何かを達成しようとする動作のことです。

 自閉症の子どもの多くにはこの動作が認められます。自閉症の子どもは、何かをしてほしいとき、してほしい相手より「もの」に関心が強いため、相手の気持ちに構わずに要求を満たそうとすることがあるためだと考えられます。

 しかし、通常の発達過程の子どもにもクレーン現象が現れることがあります。1歳前後で言葉を使って要求を伝えることができない子どもは、さまざまな方法で、してほしいことを伝えようとします。その方法の一つとして、クレーン現象が認められます。


発達の一つの過程か表情や様子を確認

 そのときに両親と表情のやり取りがあり、周りの様子を気にしているようであれば、正常な発達の一つの過程である可能性が高いと思われます。

 自閉症の診断では、一つの現象だけではなく、言葉の遅れ、こだわり、社会性やコミュニケーションなど、いくつかの特徴についての総合的な評価が必要です。


発達に心配があれば小児科医に相談を

 クレーン現象は要求を伝える一つの方法なので、無理に直す必要はありません。可能であれば要求に応えてあげましょう。そして、指さしで欲しいものを示す、言葉で伝えるなど他の方法によるコミュニケーションができるように声をかけてください。

 発達の様子に心配があれば、小児科医と相談しながら発達の評価を行いましょう。


熊本大学大学院生命科学研究部小児科学分野
准教授 中村公俊

様子を見ながら、他のコミュニケーションができるよう声かけを