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「あれんじ」 2014年3月1日号

【慈愛の心医心伝心】
【第三十六回】小児科外来で思うこと

女性医療従事者によるリレーエッセー【第三十六回】

【第三十六回】小児科外来で思うこと
熊本市民病院
荒尾市民病院
小児科非常勤医師
水流添(つるぞえ) 泉

 現在、私は、小児科の非常勤医師として熊本市内と県北の病院で働いています。主に内分泌疾患(ホルモン異常が原因の病気)を担当していますが、最近の外来診療では心身のストレスが原因と思われる相談が増えているようです。
 私が小児科医になってこれまでの約20年の間に、子どもたちを取り巻く社会環境は変化し、以前のような温かなものではなくなってきました。その中で、無気力になったり、自分の価値を見出すために必死になったりと、心のバランスを保つことが難しくなっている子どもたちもいます。
 小学校高学年や中学生のお子さんの中には、過剰にスポーツをがんばっているケースもあります。1日の生活を尋ねると、驚くような過密スケジュールです。多くの場合はクラブで中心的なメンバーとして期待されていて、本人も親御さんもなかなかペースを落とすことをためらわれます。一生懸命やっていることを後押ししてあげたいというお気持ちは分かりますが、子どもが自分で休めないとしたら、休ませてあげられるのは周りの大人だけです。
 「健康のためのスポーツ」「人生を楽しむためのスポーツ」と、大人は知っています。スポーツに限らず、いろんなことに疲れきったり傷ついたりした子どもたちにはぜひ、こう声をかけてあげて下さい。
 もし体や心が「疲れたな」「休みたいな」と言っていたら、ぜひ一度休息を取ってみて。そしてお友達や家族と、ほっとできる時間を作りましょう。