【専門医が書く元気!の処方箋】
そろそろ体を動かそう!〜有酸素運動と健康
少しずつ春の気配が感じられるようになってきました。体を動かすのがおっくうだった冬の間に運動不足になってはいませんか? そこで今回は、「そろそろ体を動かそうか」という皆さんのために、「有酸素運動と健康」についてお伝えします。 |
有酸素運動とは |
有酸素運動という言葉を耳にされたことはあるかと思います。医学的には運動において筋肉細胞がエネルギーを得る際に酸素を用いている状態をいいます。具体的にどのような運動かというと、私たちが日ごろ体を動かす運動、例えば、家庭内での家事や掃除、洗濯など忙しく体を動かすものはすべて有酸素運動です。「10〜20分以上継続して行える比較的楽な運動」とご理解いただければよいでしょう。散歩やウオーキング、ジョギングはその代表的なものです。 |
有酸素運動による生活習慣病の予防・改善 |
食習慣、運動習慣、飲酒・喫煙習慣などの生活習慣に起因して生じる疾病や身体の不調を生活習慣病といいます。 |
有酸素運動の頻度と具体例 |
【図1】運動の実施頻度と健康・体力レベルの意識調査(20〜79歳女性)
「大いに健康である」、「体力に自信がある」と答えた人では運動を「ほぼ毎日」または「ときどき」行っている割合が高く、逆に「あまり健康でない」「体力に不安がある」と回答した人では運動を行っている割合は低い。 では、有酸素運動をどの程度実行すればよいのでしょう。厚生労働省の「健康日本21(第二次)」の運動基準・運動指針報告書では、 |
【図2】食事制限と運動を組み合わせた減量法の効果
「食事制限」による体重の減少は、体脂肪の減少よりも筋肉量(除脂肪体重)の減少に大きく依存している。一方、「食事制限」と「運動」を組み合わせることにより、筋肉量を落とさず、体脂肪を減らすことで減量に成功していることがわかる。 |
効果的なダイエット(減量)の方法 |
おなか回りが気になる中高年の方で、体重を減らしたいと思っている方はたくさんいらっしゃると思います。いわゆるダイエットですが、その方法としては食事制限によるもの、運動によるもの、その両方を組み合わせる方法などがあります。 |
おわりに |
有酸素運動が健康に優れた効果があることは十分分かってはいるけど、なかなか始められない、続かないという方はたくさんいらっしゃるでしょう。これから気候もだんだん良くなりますので、これを機に改めてチャレンジしてみてはいかがでしょう。最後に私の恩師の言葉を記して本稿をおわります。”Never too late” …いくつになっても、何かを始めるのに遅すぎることはありません。 |
今回執筆いただいたのは |
熊本大学教育学部保健体育科
大石 康晴教授 筑波大学卒業・同大学院修了 学位:医学博士 専門分野:スポーツ生理学 筋生理学 |