【専門医が書く元気!の処方箋】
更年期を乗り越えよう
女性にとって、ある一定の年齢になると気になるのが更年期障害です。そこで今回は、卵巣で作られるホルモンの働き、更年期障害と関連疾患、治療方法、対策について紹介します。 |
はじめに |
【図1】更年期と老年期の位置づけと血清のエストロゲン値との関連
女性のからだは、卵巣から作り出されるホルモンであるエストロゲンによって、さまざまな恩恵を受けています。40歳代になると卵巣は徐々に機能しなくなり、この恩恵は失われていきます。この失われていく過程を更年期といい、これを上手に乗り越えることは、更年期だけではなく、その後の人生をも快適なものにします(図1)。 |
エストロゲンとプロゲステロン〜卵巣から産生される2つのホルモン〜 |
【図2】卵巣から作られるホルモンと子宮内膜の関連
子宮や卵巣といった女性の生殖臓器は、妊娠を成立させ、胎児を育てる役割を担っています。 |
女性ホルモンとしてのエストロゲン |
エストロゲンは子宮に働くだけではなく、妊娠・出産に耐えられるように、からだ全体を調整する働きも担っています。そのため、脳神経系、心臓血管系、肝臓、乳腺、皮膚、筋肉、脂肪、骨といった全身のあらゆる部位の細胞にエストロゲンの受け皿となる受容体が存在します。 |
更年期と更年期障害 |
【図3】更年期障害の諸症状
更年期は、エストロゲンの影響を受ける性成熟期から老年期への移行期をいいますが、医学的には閉経の前後の5年間を合わせた10年間と定義されています。閉経を迎える年齢は45から55歳の間で、平均で50歳です(図1)。 |
【図4】更年期障害の概略
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メタボリック症候群と骨粗鬆症〜更年期に関連する疾患〜 |
エストロゲンはからだのエネルギーの代謝を高めています。更年期になると、この分のエネルギーの消費がなくなり、同じような生活をしていても太りやすくなり、血圧も上がり始めます。また、肝臓での脂質代謝にも関わっており、これがなくなると血液のコレステロール値が高くなりやすくなります。 |
ホルモン療法、漢方、カウンセリング〜更年期障害の治療〜 |
【図5】更年期障害の治療
更年期障害の原因となるホルモンの低下を補う治療をホルモン補充療法といいます。 |
日常できる対策 |
更年期の原因となるエストロゲンを病院に行かなくても補える方法があります。 |
おわりに |
日本の女性の平均寿命は86歳を越え、人生の半分を自らのエストロゲンに頼らずに生活していかなければなりません。 |
熊本大学医学部附属病院
地域専門医療推進学寄附講座 産科婦人科 田代 浩徳特任准教授 日本産科婦人科学会専門医 日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍 専門医 |